エコセメントとは、ごみの焼却灰や下水汚泥などの廃棄物を主原料として製造されるセメントで、廃棄物の再資源化と最終処分量の削減を目的とする資源循環型のセメントである。
セメントは本来、石灰石や粘土を原料に作られるが、その原料の一部または大部分を焼却灰などの廃棄物に置き換えて製造したのがエコセメントである。日本産業規格(JIS)にエコセメントの規格が定められており、廃棄物由来の原料を乾燥重量で一定割合以上使うことなどが要件とされる。焼却灰を埋め立てずにセメントとして使い切れるため、最終処分場の延命に大きく寄与し、東京都の多摩地域などで自治体が共同で施設を運営する例がある。製造工程の高温でダイオキシン類が分解され、重金属も製品中に固定される。一方で、原料の灰に含まれる塩素分の管理や、一般のセメントとの品質・価格の差、製品の需要確保が運営上の課題となる。普通エコセメントと速硬エコセメントの二種類が規格化されている。
廃棄物を原料にする仕組み
エコセメントは、本来は廃棄物として埋め立てられる焼却灰や下水汚泥を、セメントの原料に転用する点に特徴がある。セメントの製造では、原料をロータリーキルンと呼ばれる回転窯で千数百度に焼成して中間製品のクリンカーを作るが、この高温の工程は廃棄物の無害化にも好都合である。ダイオキシン類は熱分解され、重金属はクリンカーの鉱物組成に取り込まれて固定される。焼却灰には塩素分が多く含まれることが多く、そのままでは鉄筋を錆びさせる原因になるため、製造工程で塩素を取り除く処理が組み込まれている。こうして廃棄物を「燃やして埋める」流れから「原料として使い切る」流れへ転換するのがエコセメントの考え方である。
最終処分場の延命と運営の課題
エコセメントの最大の意義は、焼却灰を製品として消費することで最終処分場へ埋め立てる量を大きく減らせる点にある。処分場の新設が住民合意の面でも用地の面でも難しいなか、灰の行き場を確保する手段として、複数の市町村が一部事務組合などで共同施設を運営する例がある。ただし、廃棄物由来のセメントという印象から需要先の確保には工夫が要り、公共工事での利用促進が支えになる。また、製造にはエネルギーと専用設備が要り、処理コストは単純な埋立てより高くつくことが多い。導入の判断では、処分場の残余容量と延命効果、製品の販路、運営コストを総合して検討することになる。
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