ジチテン

やさしい日本語

読み:やさしいにほんご

意味

やさしい日本語とは、難しい言葉を言い換え、文を短く区切るなどして、外国人や高齢者、障害のある人にも伝わりやすく調整した日本語のことである。日本語に不慣れな住民にも行政情報を確実に届ける手段として、防災、窓口、広報の場面で活用される。

災害時の避難の呼びかけや窓口での手続の説明が伝わらなければ、日本語に不慣れな住民は命や権利に関わる情報から取り残される。やさしい日本語は、こうした事態を防ぐために、難しい語の言い換え、一文一義、ふりがなや分かち書きといった工夫で情報を伝わりやすくした日本語である。

出入国在留管理庁と文化庁が2020年8月に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を示し、外国人住民への情報提供の標準的な方法として整理した。対象は外国人に限らず、高齢者や障害のある人、子どもにも有効とされる。言語の数だけ翻訳を用意せずとも一つの表現で複数の相手に届く利点があり、多言語対応を補う行政広報の手法として定着しつつある。

ガイドラインが示す作成の手順

「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」(2020年8月・出入国在留管理庁/文化庁)は、書き言葉を中心に三つの段階で作ることを示す。第一に、相手に必要な情報だけを選び、内容を整理する。第二に、文を分かりやすくする——一文を短く一つの内容に絞り、難しい語を平易な語に言い換え、敬語を簡素にし、漢字にふりがなを付ける。第三に、レイアウトを整え、結論を先に示し、箇条書きや余白で読みやすくする。災害情報のように緊急性が高い場面では、「にげてください」のように動作を直接示す表現が重視される。

防災と多文化共生での活用

日本に住む外国人はこの30年でおよそ3倍に増え、国籍も多様化したことで、すべての言語へ翻訳する方式には費用と対応言語数の限界が生じている。そこで、多言語化と並んで、一つで広く届く「やさしい日本語」を併用する自治体が増えた。避難情報防災行政無線・窓口の案内・広報紙などで用いられ、外国人住民だけでなく、高齢者や障害のある人、読み書きに困難を抱える人への配慮としても機能する。多文化共生施策の基盤的な手法として位置に据える自治体もあり、職員向けの研修や手引の整備が進んでいる。

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)