特定地域づくり事業協同組合とは、人口減少地域で、職員を組合が雇用し複数の事業者へ派遣することにより、安定した雇用と地域の担い手確保を図る協同組合である(地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業を推進するための特別措置法)。
人口減少地域では、農業・水産・観光などの仕事が季節ごとに繁閑があり、一つの事業者では年間を通じた雇用を用意できない。そのため若者は安定した職を求めて都市へ出てしまう。この問題を、複数の事業者で人材を分け合うことで解く仕組みが特定地域づくり事業協同組合である。組合が職員を年間雇用し、農繁期は農家へ、観光シーズンは宿へ、というように、組合員である地域の事業者へ時季に応じて派遣する。働き手は安定した給与と社会保険を得ながら、地域の複数の仕事に従事できる(マルチワーカー)。2020年施行の特別措置法に基づき、都道府県知事の認定を受けた組合は、人材派遣業の許可なく組合員へ派遣でき、運営費の財政支援も受けられる。移住・定住と担い手確保を同時に狙う、比較的新しい制度である。
マルチワーカーで季節の繁閑をならす
特定地域づくり事業協同組合の核心は、季節ごとの仕事の繁閑を、複数事業者間で人材を融通することでならす点にある。人口減少地域の主要産業(農業・水産業・林業・観光など)は、それぞれ忙しい時季が異なり、単独の事業者では年間にわたって人を雇い続けられない。そこで、組合が職員を正規に年間雇用し、その職員を時季に応じて組合員である各事業者へ派遣する。例えば春は農家、夏は観光業、冬は酒造というように、一人の働き手(マルチワーカー)が地域の複数の仕事を渡り歩く。働き手は組合から安定した給与と社会保険を受けられ、事業者は必要な時季に必要な労働力を確保できる。地域全体で雇用を支え合う発想である。
認定の仕組みと派遣事業の特例
この仕組みは、2020年に施行された地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業を推進するための特別措置法に基づく。組合は、地域の事業者が集まって設立する事業協同組合で、都道府県知事の認定を受けることで特定地域づくり事業協同組合となる。通常、他人を雇って他社へ派遣するには労働者派遣事業の許可が必要だが、認定を受けた組合は、組合員に限って労働者派遣事業の許可なく職員を派遣できる特例が認められる。あわせて、組合の運営費について国・都道府県・市町村による財政支援があり、立ち上げと運営を後押しする。対象は人口急減地域に限られ、移住者の受け皿としての性格も持つため、移住・定住施策や地域おこし協力隊の任期後の受け皿としても注目されている。
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