ジチテン

垂直避難

読み:すいちょくひなん

意味

垂直避難とは、洪水や浸水の際に、屋外の安全な場所へ移動するのではなく、建物の二階以上や屋上など、同じ建物のより高い場所へ移って身の安全を確保する避難行動の一形態をいう。立退きが間に合わない場合などにとられる次善の行動とされる。

浸水がすでに始まってから屋外へ出れば、かえって流水や見えない側溝に足をとられて命を落としかねない。垂直避難は、こうした場面で無理に外へ出ず、建物の上階へ逃れて難を避ける避難行動である。

警戒レベル五の緊急安全確保で示される行動の一つで、本来は警戒レベル四までに安全な場所へ立ち退く水平避難を終えているのが前提となる。逃げ遅れて外の移動が危険になったときの最後の手段という位置づけである。ただし垂直避難は、その建物の高さが想定される浸水の深さを上回ることや、建物が流れや浸食に耐える構造であることが成り立つ条件となる。想定浸水深が深い区域や、木造の平屋、川岸で家屋の倒壊や流失のおそれがある区域では、上階に逃げても安全は確保できない。垂直避難は万能ではなく、立退きを怠ってよい理由にはならない。

立退き避難が原則・垂直避難は次善

垂直避難をめぐって最も誤解されやすいのが、それを通常の避難の代わりにしてよいという受け止めである。避難の原則は、危険な場所から離れて安全な場所へ移る立退き避難、すなわち水平避難にある。垂直避難は、その立退きが間に合わなくなった場合に、命を守るためにとる次善の行動にすぎない。とりわけ、堤防の近くなどで家屋の倒壊や流失のおそれがある家屋倒壊等氾濫想定区域では、上階に逃げても建物ごと押し流される危険があり、垂直避難は安全策とならない。想定される浸水の深さが建物の高さを超える区域でも同様である。自宅の高さや構造、立地が垂直避難で身を守れる条件を満たすかを、平時にハザードマップで確かめておくことが欠かせない。垂直避難ができるからと立退きを先延ばしにすれば、かえって危険を招く。

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