ジチテン

争議行為の禁止

読み:そうぎこういのきんし

意味

争議行為の禁止とは、地方公務員が、地方公共団体の機関が代表する住民に対して同盟罷業や怠業その他の争議行為を行うこと、また業務の正常な運営を阻害する行為を行うことを禁じる定めをいう(地方公務員法)。労働基本権のうち争議権が公務員には認められないことを意味する。

民間の労働者には、ストライキなどの争議行為を行う権利が認められている。しかし地方公務員には、その職務が住民全体の奉仕という公共性を持つことから、争議行為が禁じられている。争議行為の禁止は、公務員の労働基本権の制約の中心をなす定めである。

地方公務員法は、職員が住民に対して同盟罷業や怠業などの争議行為を行うこと、業務の正常な運営を阻害する行為を行うこと、さらにこうした行為をあおったり企てたりすることを禁じている。公務の停滞は住民生活に直接の支障を及ぼすため、その正常な運営を確保する必要があるというのが、禁止の理由である。労働基本権が制約される代わりに、公務員には、勤務条件を第三者機関が客観的に検討し勧告する人事委員会や、その勧告に基づく給与改定の仕組みなど、その不利益を補う代償措置が用意されている。

労働基本権の制約と代償措置

争議行為の禁止を理解する鍵は、労働基本権の制約と、それを補う代償措置との関係にある。憲法は勤労者に団結権、団体交渉権、団体行動権という労働基本権を保障するが、公務員についてはその職務の公共性を理由に、これらの権利が一定程度制約されている。とりわけ争議権は全面的に否定され、一般職の地方公務員は争議行為を行えない。最高裁判所も、公務員の地位の特殊性と職務の公共性を踏まえ、こうした制約を合憲としてきた。ただし、権利を制約するだけでは公務員の勤務条件が不当に低く抑えられかねない。そこで、勤務条件を専門的・中立的に調査審議し改善を勧告する人事委員会や、その勧告を尊重して給与等を定める仕組みが、争議権を制約することの代償措置として設けられている。制約と代償はセットで理解する必要がある。

職員団体の活動との境界

争議行為が禁じられている一方で、地方公務員も勤務条件の維持改善を図るために職員団体を結成し、当局と交渉することは認められている。ここに、許される団体活動と禁じられる争議行為との境界という問題が生じる。職員団体は、給与や勤務時間といった勤務条件について当局と交渉し、書面による協定を結ぶことができる。しかし、その交渉を有利に進めるために業務を止めるストライキや一斉の年次休暇の取得による事実上の争議は、争議行為として禁じられる。どこまでが正当な団体交渉や組合活動で、どこからが業務の正常な運営を阻害する争議行為にあたるかは、活動の態様や目的に照らして判断される。職員団体の活動は、この境界の内側で行われなければならない。

つながりのある用語

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