政治的行為の制限とは、地方公務員が、政党その他の政治的団体の結成に関与し、または特定の政治的目的をもって一定の政治的行為を行うことを制限する服務上の定めをいう(地方公務員法)。公務の政治的中立性を確保することを目的とする。
行政は、特定の政党や政治的立場に左右されず、すべての住民に公平に奉仕しなければならない。政治的行為の制限は、職員が政治活動に深く関わることで公務の中立性が疑われることを防ぐための服務上の制約である。
地方公務員法は、職員が政党その他の政治的団体の役員となることや、特定の政治的目的をもって、勤務する区域内で署名運動を企画したり、寄附金を集めたりといった一定の政治的行為を行うことを制限している。これは、職員の政治的な信条そのものを否定するものではなく、職務の遂行や公務の運営に政治的な偏りが持ち込まれることを防ぐ趣旨である。なお、国家公務員に対する政治的行為の制限が罰則を伴うのに対し、地方公務員の制限は、違反しても懲戒処分の対象とはなるが刑罰は科されないなど、その範囲や効果には違いがある。
公務の政治的中立性という目的
政治的行為の制限が設けられている根本の理由は、公務の政治的中立性の確保にある。行政は、住民全体の奉仕者として、特定の政党や政治勢力に偏ることなく中立に営まれなければならない。職員が職務の影響力を背景に政治活動を行えば、行政が特定の立場に利用されているとの疑念を生み、住民の信頼を損なう。また、職員相互の間でも、政治的な対立が職場に持ち込まれれば、公正で能率的な公務の運営が妨げられる。政治的行為の制限は、こうした事態を防ぎ、行政の中立性と住民の信頼を守るためのものである。その一方で、職員も一市民として政治的自由を持つことから、制限は中立性の確保に必要な範囲にとどめられるべきであり、私的な信条や投票の自由までを奪うものではない。
国家公務員との制限の違い
政治的行為の制限は、国家公務員と地方公務員とで内容が異なる。国家公務員の場合、制限される政治的行為の範囲が人事院規則によって広く具体的に定められ、違反には刑罰が科されうる。これに対し地方公務員の場合、制限される行為は地方公務員法に定められ、その範囲は国家公務員より限定的で、違反しても懲戒処分の対象とはなるが刑罰は科されない。また、地方公務員の政治的行為の制限は、その職員が勤務する地方公共団体の区域を基準として及ぶ部分があるなど、地域に根ざした行政を担う立場が反映されている。同じ公務員でありながら制限の強さが異なるのは、職務の性質や国民・住民との関わり方の違いを踏まえたものである。
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