急迫保護とは、生活保護において、要保護者が急迫した状況にあるとき、保護の申請を待たずに福祉事務所が職権で必要な保護を行うことをいう。
生活保護は申請に基づいて開始するのが原則だが、行き倒れや重い傷病で意識がない人、生命に関わる状況にある人を、申請がないという理由で放置するわけにはいかない。急迫保護は、要保護者が急迫した状況にある場合に、福祉事務所が申請を待たずに職権で保護を開始する仕組みであり、生活保護法第7条但書・第25条が根拠となる。医療を要する者を病院に搬送して医療扶助を適用する、保護施設へ入所させるといった対応がこれに当たる。窓口では、どの程度の状況を「急迫」と判断し職権保護に踏み切るか、後日の本人の申請意思や費用返還との関係をどう整理するかが論点になる。
申請保護の原則の例外としての職権保護
生活保護は申請保護を原則とし、本人・扶養義務者・同居の親族の申請を起点に開始する。急迫保護は、この原則の例外として、要保護者が急迫した状況にあるときに福祉事務所が職権で保護を実施することを認める。生活保護法第7条但書が「急迫した事由がある場合には、保護の申請がなくても、必要な保護を行うことができる」と定め、第25条が職権による保護開始の手続を規定する。
急迫の典型は、傷病により直ちに医療を要するのに本人が申請できない場合や、放置すれば生命・身体に重大な危険が及ぶ場合である。職権で開始した保護も、後に本人の状況が安定すれば通常の申請保護の枠組みに移行する。なお、急迫の状況で保護を受けた者が資力を有していた場合には、保護費を返還させる規定(第63条)が関わることがあり、急迫性の判断と費用処理の整理が実務上の課題となる。生命の保護を優先する制度の安全弁として、現場の即応的な判断が問われる場面である。
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