揮発性有機化合物とは、常温で気体になりやすい有機化合物の総称で、塗料・溶剤・接着剤などから大気中に放出され、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質の原因となる物質である。
塗装やインキ、接着剤、洗浄に使われる溶剤の多くは、常温でも蒸発して気体になりやすい有機化合物で、これらをまとめて揮発性有機化合物(VOC)と呼ぶ。トルエンやキシレンなどが代表で、それ自体に健康影響があるものもあるが、大気保全上は、窒素酸化物とともに紫外線を受けて光化学オキシダントを生み、また浮遊粒子状物質(SPM)や微小粒子状物質(PM2.5)の生成にも関わる「原因物質」として重要である。大気汚染防止法は、塗装・印刷・接着・洗浄など排出量の多い施設にVOCの排出基準を設けるとともに、事業者の自主的な取り組みと規制を組み合わせて排出を抑える方式をとっている。自治体は、施設の届出や排出状況の把握、事業者への助言によって、地域の光化学スモッグや粒子状物質対策に関わる。
オキシダント・粒子状物質の前駆物質
揮発性有機化合物が大気保全で重視されるのは、それ自身の有害性だけでなく、他の汚染物質を生む前駆物質となるからである。VOCは大気中で窒素酸化物とともに太陽の紫外線を受けて光化学反応を起こし、光化学オキシダントを生成する。これが夏の光化学スモッグの正体である。さらに、VOCは大気中で酸化されて粒子になり、浮遊粒子状物質や微小粒子状物質(PM2.5)の一部を構成する。つまりVOCを減らすことは、光化学スモッグとPM2.5の双方の対策につながる。発生源は塗装・印刷・接着・洗浄など幅広く、製品の使用時や燃料の蒸発からも出るため、対策には多様な発生源への目配りが要る。
規制と自主的取り組みの組み合わせ
VOC対策の特徴は、法律による規制と事業者の自主的取り組みを組み合わせる方式(ベストミックス)をとっている点である。大気汚染防止法は、塗装施設や印刷施設など排出量の大きい施設を対象に排出基準を定め、これを規制で担保する。一方、小規模な発生源や製品からの蒸発まで一律の規制で抑えるのは難しいため、業界の自主的な削減目標と取り組みに委ねる部分を残し、両者を組み合わせて全体の排出を下げる設計にしている。これは、規制だけでも自主性だけでも実効が上がりにくいVOCの性質をふまえた工夫である。自治体は、対象施設の届出の受理や排出状況の把握、事業者への低VOC材料への切り替えの助言によって、地域の大気保全に関わる。
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