ジチテン

がけ条例

読み:がけじょうれい

意味

がけ条例とは、がけの崩壊から建築物の安全を守るため、建築基準法第40条の委任に基づき、がけの上下の一定範囲での建築を制限する地方公共団体の条例の通称である。

急傾斜地の近くに建物を建てると、がけが崩れて建物が押しつぶされたり、建物の重みでがけが崩壊したりする危険がある。建築基準法は全国一律の基準ではこの危険を律しきれないため、地域の地形に応じた上乗せ規制を条例に委ねている。これを受けて各都道府県・市が定めるのが、いわゆるがけ条例である。一般に、高さ2メートル(または3メートル)を超えるがけの上端・下端から、がけの高さの一定倍(多くは2倍)の範囲に建築する場合、擁壁の設置や建物の構造補強などを求める。正式な条例名は「建築基準法施行条例」などまちまちで、規制内容も自治体ごとに異なるため、傾斜地の建築相談では当該自治体の条例の確認が出発点になる。

規制の基本的な仕組み

がけ条例の規制は、がけの高さと、がけからの水平距離を基準に組み立てられる。典型的な条例では、高さがおおむね2メートルまたは3メートルを超えるがけについて、その上端および下端からがけの高さの2倍程度の水平距離の範囲を規制区域とする。この範囲内に建築物を建てる場合、擁壁を設けるか、建物をがけから離すか、建物の構造を崩壊力に耐えるよう補強するなどの措置をとらなければならない。安全な擁壁が既に存在する場合や、建物の位置・構造が一定の安全基準を満たす場合には制限が緩和される。具体的な高さの閾値・距離の倍率・緩和要件は条例ごとに異なるため、数値は必ず当該自治体の条例で確認する必要がある。

自治体ごとに異なる点と確認の実務

がけ条例は建築基準法第40条に基づく委任条例であり、その内容は地方公共団体ごとに定められる。このため、条例の正式名称、規制対象とするがけの高さ、規制範囲の倍率、擁壁や構造補強の要件、適用除外の条件などが自治体によって異なる。隣接する市同士でも基準が違うことがあり、傾斜地での建築計画では、まず敷地を所管する自治体の条例本文と運用の手引きを確認することが不可欠である。土砂災害警戒区域の指定とも区域が重なることがあるが、両者は別の制度であり、がけ条例は建築の構造・配置を、土砂災害防止法は開発・立地そのものを規律する点で役割が異なる。

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