ジチテン

法律上の争訟

読み:ほうりつじょうのそうしょう

意味

法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ法令の適用により終局的に解決できるものをいう。

住民や事業者が役所の判断に納得できないとき、その不満がすべて裁判所で争えるわけではない。裁判所が審理できるのは「法律上の争訟」に当たるものに限られ、これに当たらなければ訴えは却下される。法律上の争訟は、裁判所法第3条が司法権の対象として定める概念であり、行政をめぐる訴訟がそもそも裁判になじむかを画する入口の関門である。

要件は二つある。第一に当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であること、第二にそれが法令の適用によって終局的に解決できることである。抽象的に法令の解釈を問う訴えや、単なる事実の存否、宗教上・学問上の価値判断を争う訴えは、いずれかの要件を欠き法律上の争訟に当たらない。自治体実務では、議会の内部規律をめぐる争いや、補助金の交付方針の当否を抽象的に問う訴えなどが、この関門で訴訟要件を満たさず却下されることがある。

二つの要件と司法権の限界

法律上の争訟は、裁判所法第3条第1項が「裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判」すると定める、司法権の作用範囲を画する概念である。判例は、第一に当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であること、第二に法令を適用することにより終局的に解決できることの二要件を求める。単に法令の解釈や効力を抽象的に争う訴えは具体的紛争性を欠き、宗教上の教義の正否や学問上の論争のように法令の適用で解決できない争いは第二要件を欠く。これらは法律上の争訟に当たらず、裁判所の審判の対象とならない。

自治体実務で問題になる場面

地方公共団体をめぐる訴訟では、この関門で訴えが却下される例が少なくない。議員の出席停止などの内部規律に関する事項は、かつて司法審査が及ばないとされたが、近年の判例は出席停止処分の取消しを法律上の争訟に当たるとして審査対象に取り込んだ。一方、地方議会内部の純然たる自律的運営や、政策の当否それ自体を抽象的に問う訴えは、なお法律上の争訟性を欠くと解されやすい。住民訴訟のように個別の法律が特に出訴を認める客観訴訟は、法律上の争訟の例外として法律の定めがある場合に限り許される位置づけにある。

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