ジチテン

ダブルケア

読み:だぶるけあ

意味

ダブルケアとは、育児と、親などの介護とを、同じ時期に同時に担う状態をいう。晩婚化や晩産化を背景に、子育ての時期と親の介護の時期が重なることで生じ、担い手の負担が大きくなる。

子どもがまだ手のかかるうちに、親の介護も始まってしまう——ダブルケアは、育児と介護という二つの重い負担が同じ時期に一人にのしかかる状態を指す。晩婚化や出産年齢の上昇を背景に、けっして珍しくない状況となっている。

国の推計では、ダブルケアを担う人は全国で約二十五万人とされ、その多くを女性が占める。子育ての時期と親の介護の時期が重なると、時間も体力も二重に削られ、仕事との両立も難しくなる。離職に追い込まれたり、心身の健康を損なったりする例も少なくない。さらに、育児は子育ての窓口、介護は介護保険の窓口というように、相談先や支援の制度が分かれているため、二つを同時に抱える人を丸ごと支える仕組みが乏しい。負担が一人に集中しやすいこの状態を、地域でどう支えるかが課題となっている。

育児と介護の制度的な分断

ダブルケアの負担を重くしているのが、育児と介護を支える制度が別々に組まれていることである。育児については子育て支援の窓口やサービスが、介護については介護保険の窓口やサービスがそれぞれ用意されているが、両者は所管も財源も異なり、別の制度として運営されている。そのため、育児と介護を同時に担う人は、二つの窓口をそれぞれ訪ね、別々に相談や手続をしなければならない。二つの負担を合わせて抱える人を一人の対象として受け止め、まとめて支える仕組みは整っていない。相談に来た人が抱えるもう一方の負担に気づき、必要な支援につなぐには、窓口どうしの連携や、相談を縦割りで区切らない姿勢が要る。ダブルケアは、対象別に分かれた支援の制度が、複数の負担を同時に抱える人をとらえきれないという課題を映している。

仕事との両立と離職

ダブルケアは、働く世代を直撃する点に特徴がある。育児と介護が重なる時期は、多くの人にとって仕事の責任も重くなる年代と重なる。二つのケアに時間と体力を奪われれば、仕事を続けることが難しくなり、勤務時間の短縮や、ときには離職を選ばざるをえなくなる。とりわけ負担が偏りやすい女性が、仕事を辞めてケアに専念する例が目立つ。いったん離職すれば、世帯の収入が減るだけでなく、本人の職業生活も中断され、ケアが終わった後の再就職も容易でない。育児と介護のそれぞれに、仕事との両立を支える休業や勤務時間の配慮の仕組みはあるが、両方を同時に使う事態は十分に想定されていない。ダブルケアを支えることは、働き続けられる環境をどう守るかという課題とも結びついている。

つながりのある用語

ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)