地熱発電とは、地下のマグマで熱せられた蒸気や熱水を取り出してタービンを回し、電気を起こす再生可能エネルギーである。
火山国の地下深くに蓄えられた熱を電力に変えるのが地熱発電である。井戸を掘って高温の蒸気や熱水を取り出し、その力でタービンを回す方式で、天候や時間に左右されず昼夜を問わず安定して発電できる点が太陽光や風力との大きな違いである。地下の熱資源を利用するため発電時に温室効果ガスをほとんど出さず、再生可能エネルギーに数えられる。一方で、有望な地点が温泉地や国立公園・国定公園と重なることが多く、温泉事業者との利害調整や自然公園法による開発規制が立地のハードルとなる。さらに、調査から運転開始まで十数年を要するなど開発期間の長さが課題で、自治体は立地調整や住民・温泉組合との合意形成、地域への熱の利用などの場面で関わる。
安定出力という強みと長い開発期間
地熱発電の最大の特徴は、出力が安定していることである。太陽光は夜間や雨天に、風力は無風時に発電が止まるのに対し、地熱は地下の熱を使うため天候や時間帯に左右されず、設備利用率が高い。電力系統を支えるベースロード電源として期待されるのはこのためである。しかし、この強みと裏腹に開発のハードルは高い。地下の熱資源がどこにどれだけあるかは掘ってみなければ正確には分からず、調査井の掘削から資源量の確認、環境影響評価、建設を経て運転開始に至るまで十年以上かかることが珍しくない。初期投資が大きく、掘削しても十分な蒸気が得られない探査リスクも伴う。この長い助走期間と先行投資の重さが、有望な資源量に比べて導入が伸び悩んできた要因である。
温泉地・国立公園との立地調整
地熱資源が豊富な場所は、火山活動が活発な地域であり、その多くが温泉地や国立公園・国定公園と重なる。ここに地熱発電特有の難しさがある。第一に、地下の同じ熱水脈を利用する温泉事業者にとって、近隣での大規模な熱水のくみ上げは源泉の枯渇や湯量・湯温の変化への不安につながり、温泉組合との合意形成が立地の鍵を握る。第二に、優良な地熱地帯が自然公園法で保護される特別地域などに含まれる場合、景観や生態系の保全との両立が問われ、開発できる区域や方法に制約がかかる。自治体は、地域の理解を得るための説明や調整役を担うとともに、発電後の熱水を温室栽培・融雪・地域熱供給に使うなど、地熱を地域資源として活かす取り組みの主体ともなる。
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