低周波音とは、人がほとんど聞き取れない、おおむね100ヘルツ以下の低い周波数の空気の振動であり、建具のがたつきや圧迫感・不快感などの苦情の原因となる音をいう。
近隣の機械から不快な振動や圧迫感を感じるという住民からの相談を受けたとき、環境担当が向き合うのが低周波音である。通常の騒音は耳で大きさを判断できるが、低周波音は周波数が低く、人によっては音として聞こえないまま、窓や戸のがたつき・頭痛・寝つきの悪さといった形で現れる。発生源は工場の送風機・コンプレッサー、店舗の室外機、風力発電設備などが挙がる。騒音規制法・振動規制法はもっぱら耳に聞こえる騒音や地面の振動を規制対象としており、低周波音には全国一律の規制基準がない。このため自治体は、国が示した参照値(物的苦情・心身に係る苦情の目安となる値)を手掛かりに測定し、発生源側と住民の間に立って対応する。聞こえ方に個人差が大きく、測定値が参照値を下回っても苦情が続くことがあり、行政の判断が難しい分野である。
規制基準がなく参照値で対応する
低周波音は、騒音規制法・振動規制法のどちらにも全国一律の規制基準が定められていない。耳に聞こえる騒音とは性質が異なり、人による感じ方の差が大きいため、一律の数値で線引きしにくいからである。実務では、国が示した低周波音問題対応の手引書にある参照値を判断の手掛かりに使う。参照値には、建具のがたつきなど物的な苦情に対応する値と、頭痛や不快感など心身に係る苦情に対応する値の二系統があり、苦情の内容に応じて使い分ける。ただし参照値は規制基準ではなく、これを下回ったからといって苦情がないことの証明にはならない点に注意が要る。
苦情対応の進め方
低周波音の苦情を受けた自治体は、まず発生源と疑われる機械の稼働状況を確認し、苦情の出ている住居で測定を行う。測定には1ヘルツ程度の低い周波数まで測れる専用の機器が必要で、一般の騒音計では捉えきれない。測定結果を参照値と照らし、原因が特定できれば、発生源側へ防振対策や運転時間の見直しといった改善を働きかける。法的な規制がないため、行政は命令ではなく協議・指導によって解決を図ることが多い。聞こえ方の個人差から、測定値が低くても苦情が解消しない事例もあり、住民・事業者双方への丁寧な説明が欠かせない。
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