新旧対照表とは、法令や条例の一部改正において、改正前(旧)と改正後(新)の条文を左右に並べて対照させ、変更点を一覧できるようにした表をいう。改め文だけでは分かりにくい変更内容を可視化する補助資料である。
「第3条中『市長』を『教育長』に改める」という改め文だけでは、改正後に条文がどうなるのか直感的に分からない——この読みにくさを補うのが新旧対照表である。日本の立法は一部改正を改め文(差分の指示)の形で行うため、改め文を読んでも改正後の条文の姿が頭に浮かびにくい。そこで、改正後の条文(新)と改正前の条文(旧)を左右二段に並べ、変更箇所に下線などを付して、何がどう変わるかを一目で示すのが新旧対照表である。議案を審議する議員や、改正内容を確認する職員・住民にとっての実用的な資料であり、自治体は議案や例規改正の説明に添付するのが通例である。近年は、改め文に代えて新旧対照表そのものを改正の正本(対照表方式)とする動きもあるが、地方では従来どおり改め文を正本とし対照表を補助資料とする団体が多い。
なぜ改め文に新旧対照表を添えるのか
日本の立法実務では、一部改正は「第○条中『A』を『B』に改める」といった改め文で行われ、これが議決の対象となる正本である。改め文は差分だけを正確に指示する点で優れるが、改正後の条文全体がどうなるかは改め文の指示を頭の中で適用しないと分からず、専門外の読み手には負担が大きい。新旧対照表は、改正後(新)と改正前(旧)の条文を左右に並べ、変更箇所を下線や太字で示すことで、この負担を解消する。議案審議の場で議員が変更点を把握する資料として、また職員が改正内容を確認し住民へ説明する資料として、改め文を補完する役割を担う。あくまで補助資料であり、法的な改正の効力は改め文に基づく。
対照表方式という動き
改め文方式は差分を厳密に指示できる反面、作成・読解に高度な技能を要し、誤りが生じやすいという課題が指摘されてきた。これを背景に、改め文に代えて新旧対照表そのものを改正規定の正本とする「対照表方式(新旧対照条文方式)」を採用する動きがあり、一部の府省や自治体で導入されている。対照表方式では、表の新欄が改正後の条文を直接示すため、改正後の姿が分かりやすいという利点がある。もっとも地方では、従来の改め文を正本とし新旧対照表を補助資料として添える運用が依然として主流で、どちらを採るかは各団体の法制執務の方針による。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)