ジチテン

オーバーツーリズム

読み:おーばーつーりずむ

別名:オーバーツーリズム
意味

オーバーツーリズムとは、観光地に過剰な観光客が集中することで、地域住民の生活環境・自然環境・文化財等に悪影響が生じる状態のことである。観光庁は「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(2023年策定)で対策の方向性を示しており、観光地を有する市区町村が地域住民・観光事業者・交通機関等と連携して対応する必要がある。

観光客が一時期・一か所に集中すると、混雑や騒音、ゴミ、住環境の悪化が地域住民の暮らしを圧迫し、観光地としての魅力そのものも損なわれる。オーバーツーリズムは、過剰な観光客の集中で住民の生活環境・自然環境・文化財に悪影響が生じる状態であり、観光の利益とその負の影響のバランスが崩れた事態として対策の必要を捉える点に意義がある。

日本では2023〜2024年に各地で顕在化し、バス・道路の混雑、住民の生活圏への侵入や騒音・ゴミ、文化財・自然環境への負荷、宿泊施設の高騰による住環境悪化が問題となった。インバウンドの回復(2023年に訪日外国人2,506万人)に伴い再燃し、観光庁は「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(2023年)で対策の方向性を示している。

主な対策手法

観光庁が示すオーバーツーリズム対策の主な手法は、混雑する時期・時間帯・場所への集中を緩める分散化・オフピーク化、撮影禁止区域の設定や立入規制といったマナー啓発・ルール設定、事前予約や人数上限による入場制限・予約制、入山料や拝観料の設定・引上げによる有料化・受益者負担の強化、ICTを活用した観光情報の提供などの地域全体での受入れ環境整備の五つに整理される。いずれも観光客を一律に減らすのではなく、時間や場所の偏りをならし、訪れる人にも一定の負担やルールを求めることで、住民の暮らしと観光の両立を図る方向にある。

市区町村条例・規制

富士山では山梨県富士吉田市が2024年に主要登山道での入山規制(弾丸登山禁止・通行料徴収)を実施した。京都市は観光地の不法駐車・路上喫煙等のマナー条例に加え、宿泊税を導入して観光対策財源を確保している。観光まちづくりを担うDMO(観光地域づくり法人)と市区町村の観光担当課が連携してオーバーツーリズム対策を立案するケースが増えている。規制や有料化は観光客の反発や来訪減を招くおそれもあるため、住民の生活を守る効果と観光地としての魅力の維持とをどう両立させるかが、対策を設計するうえでの難しさとなる。

持続可能な観光の考え方

オーバーツーリズムへの対処は、観光客数の単純な抑制にとどまらず「持続可能な観光(サステナブルツーリズム)」の実現として捉えられる。地域の自然・文化・生活環境の保全と観光消費の質的向上(少数の観光客により高い付加価値を提供するモデルへの転換)を両立させる考え方である。観光庁のKPI(観光地の満足度・地域GDP・観光消費額)の見直しでも、訪問者数よりも観光消費額・満足度を重視する方向に政策が転換しつつある。

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