応急危険度判定とは、地震等の災害発生直後に建築の専門家(応急危険度判定士)が被災した建築物を巡回して目視で調査し、建物が余震等でさらに倒壊・損傷する危険性の有無を「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済(緑)」の3区分のステッカーで表示する制度のことである。
大地震の後、被災した建物に住民が不用意に立ち入れば、余震による倒壊や落下物で命を落としかねない。応急危険度判定は、専門家が被災建築物を巡回して余震などでさらに倒壊・損傷する危険性を判定しステッカーで表示する制度であり、被災建物への立入りの危険を住民に知らせて二次被害を防ぐ点に意義がある。
判定結果は「危険(赤)」「要注意(黄)」「調査済(緑)」の3区分のステッカーで建物に表示する。住民の生命を守る緊急の安全確認が目的で、被災の程度を認定する罹災証明書とは目的も基準も異なる。都道府県が応急危険度判定士の養成・登録を担い、大規模地震の発生後に市区町村の要請を受けて都道府県が判定士を派遣・調整する。
三区分ステッカーと判定基準
判定結果は現地で建物に貼付するステッカーで示される。「危険(赤)」は建物への立入りが非常に危険と判定されたもの(倒壊のおそれ・大きな亀裂・傾斜等)、「要注意(黄)」は部分的に危険な箇所があるため注意が必要とされるもの、「調査済(緑)」は調査が完了し一応の安全が確認されたものである。判定は構造種別(木造・鉄骨造・RC造等)ごとの判定マニュアル(内閣府・国土交通省が作成)に基づき、外観目視を中心に10〜20分程度で実施する。
応急危険度判定士の養成と体制
判定士は建築士・建築技術者等が都道府県主催の講習・試験を受けて登録する資格制度であり(各都道府県の要綱に基づく)、民間建築士が多数登録している。大規模地震発生後には、被災都道府県が他の都道府県に判定士の応援派遣を要請し、全国から判定士が集まる仕組みが「応急危険度判定支援連絡協議会」の枠組みで整備されている。自治体の建築指導課が主担当となって判定班の編成・コーディネートを行う。大規模災害では被災地の判定士だけでは足りないため、全国から判定士を応援派遣する仕組みが要る。発災直後の限られた時間に多数の建物を判定するには、平時からの判定士の養成と、応援を受け入れる体制づくりが欠かせない。
罹災証明との違い
応急危険度判定は「建物の安全性(倒壊危険の有無)」を調査するもので、判定結果は補償・支援の根拠にはならない。被災者生活再建支援法・各種補助の根拠となる「罹災証明書」は別途、市区町村が実施する「り災証明のための建物被害認定調査」(全壊・大規模半壊・半壊・準半壊等の区分)に基づいて発行される。住民が両者を混同するケースが多いため、「応急危険度判定のステッカーが赤でも全壊認定ではない」という点を明確に周知する広報が自治体に求められる。
つながりのある用語
対比
ご意見箱(匿名で投稿できます)