ジチテン

狂犬病予防法

読み:きょうけんびょうよぼうほう

意味

狂犬病予防法とは、狂犬病の発生・まん延を防ぐため、飼い犬の登録と毎年の予防注射、鑑札・注射済票の装着を飼い主に義務づけ、自治体に登録事務などを担わせる法律である。

狂犬病は発症すればほぼ命を落とす恐ろしい人獣共通感染症で、日本は予防の徹底によって国内発生を抑え込んできた。その根拠が狂犬病予防法である。犬の所有者には、取得後の登録、毎年一回の予防注射、交付された鑑札と注射済票を犬に着けることが義務づけられる。市町村は犬の登録を受け付けて原簿を管理し、鑑札・注射済票を交付するとともに、集合注射の実施や未注射の飼い主への指導を行う。所有者不明の犬の抑留も市町村の事務である。これらは万一の侵入時に感染源を素早く特定し、まん延を防ぐための備えである。動物愛護管理法が動物の福祉と適正飼養を扱うのに対し、狂犬病予防法は感染症の防止という公衆衛生のために犬の管理を求める点で、目的が異なる。

登録と予防注射の義務

狂犬病予防法の中心は、飼い犬の登録と予防注射の義務である。犬を取得した所有者は、生後一定期間を過ぎた犬について市町村に登録を申請し、生涯に一度の登録で犬ごとの原簿が作られる。あわせて、毎年一回の狂犬病予防注射を受けさせ、登録時に交付される鑑札と、注射のたびに交付される注射済票を犬に着けておかなければならない。鑑札・注射済票は、万一犬が人をかんだり迷子になったりしたとき、その犬が登録・接種済みかを即座に確認するための標識である。市町村は登録原簿を管理し、毎春の集合注射の場を設けるなどして接種率の維持に努める。これらの義務を怠ると罰則の対象になる。

まん延防止の備えとしての意味

狂犬病予防法の各種義務は、国内に狂犬病が侵入したときに被害を最小限に食い止めるための備えである。日本は長年、国内での犬や人の狂犬病発生がない状態を保っているが、世界では今も各地で発生しており、輸入動物などによる侵入のおそれは消えない。万一発生すれば、登録原簿によって地域の犬の所在を把握し、接種済みかどうかを確認したうえで、緊急の一斉注射や移動制限といった措置を素早く打てる。日頃の登録・接種率が高いほど、こうした有事の対応が効く。市町村が地道に登録事務と接種勧奨を続けるのは、発生のない平時にこそ意味を持つ予防行政だからである。

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