橋梁点検とは、道路法第43条の2に基づき道路管理者(国・都道府県・市区町村)が5年に1回実施する義務のある、橋梁(橋)の定期点検のことである。平成26年(2014年)の道路法施行規則改正で近接目視による全橋梁の定期点検が義務化され、点検結果を健全性(Ⅰ:健全〜Ⅳ:緊急措置が必要)に区分して記録・公表する。
高度経済成長期に造られた橋が一斉に老朽化するなか、点検を怠れば重大事故につながりかねない。橋梁点検は、道路法第43条の2に基づき道路管理者(国・都道府県・市区町村)が5年に1回実施を義務付けられた橋梁の定期点検で、結果を健全性(Ⅰ:健全〜Ⅳ:緊急措置が必要)に区分して記録・公表する。
点検の義務化は、2012年(平成24年)の中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故を契機にインフラ点検体制の見直しが進んだことを背景とする。点検は、点検員が橋の各部材を直接目視・触診で確認する近接目視を基本とし(一部は打音検査・計測も行う)、損傷状況の記録と健全性区分の判定、判定結果に応じた補修・通行制限・緊急措置といったサイクルで実施される。市区町村が管理する道路橋は全国で約70万橋とされ、うち建設から50年超の高齢橋が急増している。
健全性の判定区分と措置
橋梁点検の健全性の判定は道路橋定期点検要領(国土交通省)に基づき4段階に分類される。区分Ⅰは健全で措置不要、区分Ⅱは予防保全段階で詳細調査・早期補修が望まれる状態、区分Ⅲは早期に補修が必要な早期措置段階、区分Ⅳは緊急に通行止め・補修等が必要な緊急措置段階である。区分Ⅳと判定された橋梁は緊急の対応(通行止め・応急補修・架替え等)が必要で、道路管理者は速やかに措置を講じなければならない。判定は次の点検までの管理方針を左右するため、客観的な記録が重要となる。
市区町村の点検体制の課題
市区町村が管理する橋梁の点検体制には大きな課題がある。土木・橋梁を専門とする技術職員が少ない小規模市区町村は、点検業務を民間の橋梁点検業者に委託せざるを得ないが、委託費用の確保・仕様書の作成・業者の評価に専門知識が必要となる。都道府県は管内市区町村の橋梁点検を支援するため、技術職員の派遣・出向、複数市区町村が一括して点検業者を選ぶ共同発注、補助金・技術研修の提供を行う場合がある。限られた技術者で多数の橋を管理するため、点検記録のデータベース化や新技術(ドローン・センサー)の活用も模索されている。
点検費用と修繕財源
橋梁点検・修繕の費用は「防災・安全交付金(道路メンテナンス補助)」の対象であり、個別施設計画(インフラ長寿命化計画)に基づく修繕が補助対象となる。公共施設等適正管理推進事業債(起債充当率75%・元利償還金の50%を交付税措置)等の地方債も活用でき、財政力の弱い市区町村が橋梁更新の財源を確保するための制度が整えられている。多数の橋を一度に更新する財源は乏しいため、健全性の判定に基づいて優先順位を付け、予防保全的に修繕してコストを抑える考え方が重視されている。
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