ジチテン

公費解体

読み:こうひかいたい

意味

公費解体とは、大規模災害発生後に被災した建築物(危険な状態にある家屋等)を行政が費用を公費(国費・地方費)で負担して解体・撤去することをいう。費用の一部は国庫補助(「災害等廃棄物処理事業費補助金」)が充てられ、解体・撤去に要した費用は所有者の合意のもとで自治体が代わって執行する。

地震や津波で多数の家屋が損壊すると、倒壊の危険や撤去費用の負担が被災者と地域の復興を妨げる。公費解体は、大規模災害後に被災した危険な家屋等を、行政が費用を公費(国費・地方費)で負担して所有者に代わり解体・撤去する仕組みで、費用の一部に国庫補助(災害等廃棄物処理事業費補助金)が充てられる。

公費解体は被災家屋が多数に上る大規模災害(地震・津波・豪雨等)後に実施され、倒壊のおそれがある危険家屋の撤去や、自力で解体費用を調達できない被災者への支援策として機能する。法的根拠は廃棄物の処理及び清掃に関する法律および「大規模災害からの復興に関する法律」等で、環境省の「災害廃棄物対策指針」が具体的な実施手順を定める。補助率は国が2分の1〜3分の2(補助対象経費の区分により異なる)で、残りを都道府県・市区町村が負担する。

実施フローと所有者の合意

公費解体は、被災者からの申請受付に始まり、被災建物の現地調査・危険度判定(倒壊危険の確認)、所有者の同意取得(同意書の徴収)、解体業者の選定(入札・随意契約)、解体と廃棄物の分別・収集・処分、費用精算・国への実績報告という順で進む。所有者が不明であったり相続人が多数いたりする場合は同意取得に時間を要し、解体着手が遅れる大きな要因となる。このため、相続人調査や所有者の意思確認を早期に始めることが滑らかな実施の鍵となる。

過去の大規模災害での実績

公費解体が大規模に実施された代表例として、阪神・淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、令和6年能登半島地震(2024年)がある。東日本大震災では沿岸部を中心に約280万トンの災害廃棄物が発生し、津波で流失した家屋の解体・廃棄物処理が岩手・宮城・福島の3県で進められた。広域での解体・廃棄物処理には仮置き場の確保・分別・処理施設の受入れ体制が不可欠であり、市区町村の廃棄物・建築担当課が連携して対応する。

市区町村の体制整備

市区町村は平時から、公費解体の実施要綱・申請書様式の整備、解体業者リストの整備(入札参加登録)、都道府県・環境省との連絡体制の確認、廃棄物仮置き場候補地の選定を行っておくことが「災害廃棄物処理計画」(環境省が策定を求める)で推奨される。大規模地震後には解体業者の需給逼迫・廃棄物処理施設の受入れ制限が生じるため、平時からの業者・施設との関係構築が発災後の対応の実効性を左右する。発災後に一から体制を組むのは困難なため、近隣自治体や民間団体との応援協定をあらかじめ結んでおくことも有効である。

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