ジチテン

地盤沈下

読み:じばんちんか

意味

地盤沈下とは、地下水のくみ上げなどによって地層が収縮し、地表面が広い範囲にわたって低下する現象であり、環境基本法で典型七公害の一つに数えられる公害である。

工業用水や農業用水として地下水を大量にくみ上げてきた地域で、長い年月をかけて静かに進むのが地盤沈下である。地下水を抜くと、それまで水で支えられていた粘土層が収縮し、地表が沈む。いったん沈むと元には戻らない不可逆な現象で、低地での浸水被害の拡大、建物や橋・堤防の不同沈下、井戸や護岸の損傷といった被害をもたらす。原因が地下水の過剰採取にあるため、対策は採取量の規制が中心になる。工業用水法やビル用水法、自治体条例によって、特定の地域で地下水のくみ上げを制限してきた。被害は地味で進行が遅いため目立ちにくいが、ゼロメートル地帯を抱える都市部では防災上も重要な公害である。

地下水採取の規制

地盤沈下の主な原因は地下水の過剰な採取であるため、対策は採取量の制限が中心となる。国の法律では、工業用水法が工業用の地下水採取を、建築物用地下水の採取の規制に関する法律(ビル用水法)が建築物の冷房や水洗便所のための地下水採取を、指定地域で許可制とし、井戸の構造やくみ上げ量を規制している。これらに加え、自治体は条例で対象地域や用途を広げ、独自に採取を制限する例がある。地下水は貴重な水資源でもあるため、採取の制限と利水のバランスをとりながら、地盤の保全を図ることになる。

不可逆性と被害

地盤沈下は、いったん起きると地表が元の高さに戻らない不可逆な現象である点に厄介さがある。粘土層が一度収縮すると、地下水位が回復しても地盤はほとんど元に戻らない。沈下が進むと、海面より低いゼロメートル地帯が広がり、高潮や洪水のときの浸水被害が深刻になる。また、地盤が一様でなく不ぞろいに沈む不同沈下は、建物の傾きや配管・護岸の破損を招く。被害の進行が遅く日常では気づきにくいため、水準測量による継続的な監視で沈下の進行を把握し、早めに採取規制へつなげることが重要になる。

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