ジチテン

義務教育費国庫負担金

読み:ぎむきょういくひこっこふたんきん

意味

義務教育費国庫負担金とは、義務教育費国庫負担法に基づき、公立の小中学校などの教職員の給与に要する経費の一部を国が負担するため、その実施主体である都道府県や指定都市に対して交付する負担金をいう。

全国どこに住む子どもも一定水準の義務教育を受けられるようにするには、その費用の大半を占める教職員の給与を、地域の財政力にかかわらず安定して支える必要がある。義務教育費国庫負担金は、この給与費を国と地方で分担し、教育の機会の均等を財政の面から保障する仕組みである。

公立の小中学校などの教職員の給与は、その任命権を持つ都道府県や指定都市が支払うが、その経費は多額にのぼる。義務教育費国庫負担法は、この給与に要する経費の一部を国が負担すると定め、国は実支出額の一定割合を負担金として都道府県などに交付する。これにより、財政力の弱い地域でも、必要な教職員を確保し、義務教育の水準を保つことができる。負担金は、その使いみちが教職員の給与に限られる点で、自治体が自由に使える地方交付税とは性格が異なり、国が義務教育の水準維持に責任を負う表れとされる。

国の負担割合をめぐる経緯

義務教育費国庫負担金で大きな論点となってきたのが、国が負担する割合である。かつて国は、教職員の給与費の二分の一を負担していたが、国と地方の財政の関係を見直す三位一体の改革のなかで、この割合が三分の一に引き下げられ、残りは地方が地方交付税などで賄うこととされた。この見直しをめぐっては、国の負担を減らせば義務教育の水準が地域によってばらつくおそれがあるとして、教育の機会の均等を守る立場から強い反対があった。負担割合をどう定めるかは、義務教育に対して国がどこまで財政の責任を負うべきかという根本的な問いに関わり、国と地方の財政の分担をめぐる議論の焦点であり続けている。

総額裁量制と教職員の配置

義務教育費国庫負担金の運用では、地方の裁量を広げる総額裁量制がとられている。これは、国が負担する総額の枠のなかであれば、教職員の給与の額や人数の配分を、都道府県などが地域の実情に応じて柔軟に決められる仕組みである。たとえば、給与の水準を抑えてその分で教員の数を増やしたり、非常勤の活用を工夫したりすることが可能になる。これにより、国が義務教育の水準を財政面で支えつつ、現場に近い地方が、限られた財源をどう配分するかを判断できるようになっている。ただし、財源の枠そのものが限られるなかでは、教職員の数の確保と処遇の維持を両立させることは容易でなく、少人数学級の実現などをめぐって、国の負担のあり方が引き続き問われている。

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