ジチテン

脱炭素先行地域

読み:だつたんそせんこうちいき

意味

脱炭素先行地域とは、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)第21条の5に基づき環境大臣が選定する地域で、2030年度までに民生部門(家庭・業務)の電力消費に伴うCO₂排出の実質ゼロを達成し、全国の脱炭素化の先行モデルとなる地域として認定されたものである。地方自治体が計画を作成して応募し、採択された地域には国の集中的な財政支援が行われる。

2050年の脱炭素という目標は全国一律の号令だけでは進まず、地域ごとの再エネ資源や課題に即した具体的なモデルが要る。脱炭素先行地域は、2030年度までに民生部門の電力由来CO₂排出の実質ゼロを達成し全国の先行モデルとなる地域を国が選定する制度であり、地域発の脱炭素の成功例をつくって全国へ波及させる点が眼目である(温対法第21条の5)。

2022年度に始まり、環境省が年1〜2回の公募・選定を行う。選定地域は再生可能エネルギーの最大限の導入・省エネ・電化・デジタル技術を組み合わせ、成功モデルを近隣へ広げる「脱炭素ドミノ」を目指す。採択計画には「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」が充当され、2024年時点で全国に100か所以上が選定されている。

計画の作成と申請

脱炭素先行地域の計画作成は市区町村(都道府県や複数の自治体が連携した申請も可能)が行い、先行地域の区域・対象設備、再エネ導入・省エネの目標量、住民・事業者・金融機関などとの連携体制を含む事業スキーム、2030年度のCO₂排出削減量の見込みを含む計画書を提出する。審査では地域の再エネポテンシャル・地域課題(過疎・農山村の活性化・災害対応力強化等)との連動・民間資金の活用・地域住民の受益の明示等が評価される。

先行地域の典型的な取り組み

採択された脱炭素先行地域での取り組みには、地域の太陽光・風力・水力・バイオマスなどの再エネ源を活用した地域新電力(地域エネルギー会社)の設立と地産地消、公共施設・民間施設・住宅の屋根への太陽光パネルの一括設置(PPAモデル)、EVバス・EV公用車の導入と再エネ電力による充電、農山村型では小水力発電・木質バイオマスを活用した電力・熱供給などが多い。いずれも地域の再エネ資源を地域内で活かす点に共通し、脱炭素を進めると同時に、エネルギーの地産地消による地域経済への還流や、災害時の電力確保といった地域課題の解決を兼ねる設計が重視される。

自治体の財政面での影響

地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の補助率は事業の種別・内容によって異なるが、公共施設の設備整備は1/2〜2/3の補助が基本となる。採択期間(計画の実施期間:最大10年)中は継続的な財政支援が行われる。民間事業者(電力・建設・農業等)との連携スキームを組むことで自治体の持ち出しを最小化しつつ事業を進めることが要り、自治体の事業形成力・交渉力が選定の可否に直結する。交付金による財政支援があるとはいえ、計画期間の終了後も事業を自立して続けられるかが問われるため、民間との連携で持続可能な事業スキームを組めるかが、選定だけでなくその後の成否を左右する。

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