地域医療構想とは、医療法第30条の4に基づき都道府県が策定する医療計画の一部として、2025年(令和7年)以降の病床の機能分化・連携を推進するための都道府県レベルの計画のことである。各構想区域(二次医療圏)ごとに高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つの病床機能の将来の必要量を推計し、現状との比較で過剰・不足を明らかにしたうえで、医療機関の自主的な取り組みを促す。
地域医療構想は平成27年(2015年)に都道府県の医療計画に盛り込まれ、全国で都道府県が構想区域ごとの計画を策定した。2025年に向けた急性期病床の削減と回復期病床の増加という方向性のもとで、国は病床機能報告制度(病院が毎年、各病棟の病床機能を都道府県に報告する仕組み)を設け、構想の実現状況をモニタリングしている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大(令和2年〜)で病床の逼迫が社会問題化したことを受け、令和4年(2022年)の医療法改正では、感染症病床や重症病床の整備といった感染症への対応能力の強化が地域医療構想に組み込まれた。
4つの病床機能
地域医療構想が対象とする病床機能は4区分である。最も重症な患者に対応する高度急性期(ICU・救命救急・高度専門医療等)、一般的な入院治療を要する急性疾患に対応する急性期、急性期を脱した患者のリハビリや在宅復帰のための医療・介護を担う回復期、長期にわたる医療・介護が必要な患者に対応する慢性期(療養病棟等)である。これらの病床数について、2025年の必要量(需要推計)が構想区域ごとに示される。推計では、全国的に急性期病床が過剰で回復期病床が不足する傾向にあることが明らかになった。
市区町村との関係
地域医療構想は都道府県が策定するが、市区町村もいくつかの接点を持つ。市区町村立や公設民営の病院が構想の対象となる場合、病床機能の見直し等について都道府県と協議する。また、構想区域ごとに設置される地域医療構想調整会議(病院・医師会・市区町村等が参加)に市区町村の代表が加わり、地域の医療供給のあり方を議論する。さらに、介護保険事業計画で定める在宅医療の整備目標と、構想が描く回復期・慢性期病床の方向性を、在宅医療・介護連携推進事業と連動させて整合させる役割も担う。
公立・公的病院の再編統合
国は地域医療構想の実現のため、「再検証対象医療機関」(令和元年9月に厚生労働省が424病院を公表したことで問題化)として公立・公的病院に再編・統合の検討を求めた。この公表は地方公共団体・地域住民に大きな反発を呼び、議論の進め方の問題として批判を受けた。医療資源の少ない過疎地域では病院が地域の医療の唯一の拠点(最後の砦)であることも多く、単純な再編・統合が地域の医療へのアクセスを著しく悪化させるリスクがある。地域の実情を反映した構想の実現には、都道府県・市区町村・医療機関・住民の丁寧な対話が不可欠となる。
ご意見箱(匿名で投稿できます)