オンプレミスとは、サーバーやネットワーク機器を自組織の施設内に設置し、自前で運用・管理する情報システムの設置形態をいう。
クラウドが当たり前になった今、自治体はなぜ全システムをクラウドへ移さず一部をオンプレミスで残すのか。オンプレミスは機器を庁舎やデータセンターに置き、ハードウェアの調達から保守までを自団体の責任で抱える形態である。設備投資が先行し、機器の更改ごとに大きな費用が発生する一方、外部回線に依存せず閉じた環境で運用できるため、機微な情報を扱う基幹系での安心感が支持されてきた。国が掲げるクラウド・バイ・デフォルト原則は、新規構築では原則クラウドを第一候補とする方針であり、オンプレミスはその対極に位置づけられる。標準化やガバメントクラウドへの移行が進むなかで、自治体は保守期限・コスト・セキュリティを比べ、どの業務を移しどの業務を残すかを判断する。
クラウドとの費用構造の違い
オンプレミスとクラウドは費用の発生の仕方が根本から異なる。オンプレミスは導入時にサーバーや機器を一括で購入する初期投資が大きく、その後は保守費用が続き、5年から7年ごとの機器更改で再び大きな支出が発生する。クラウドは初期投資を抑えられる代わりに利用量に応じた費用が毎月かかり続ける従量制が基本となる。短期で見ればクラウドが安く見え、長期で大量に使えばオンプレミスが割安になる場面もあるため、自治体の調達では総保有コストを耐用年数の全期間で比べる必要がある。移行の判断では、目先の費用だけでなく、運用に割く職員の人手や障害時の責任分担まで含めて評価する。
標準化・ガバメントクラウドとの関係
自治体情報システムの標準化では、基幹系業務システムをガバメントクラウドへ移すことが前提に置かれている。これは従来オンプレミスで個別に構築されてきた住民記録や税のシステムを、国が用意する共通のクラウド基盤へ載せ替える動きである。長年自前の機器で運用してきた自治体にとって、オンプレミスからクラウドへの移行はデータ移行や運用体制の見直しを伴う大きな転換となる。移行期には新旧の環境が併存し、職員はクラウド前提の運用に慣れる必要がある。すべての業務が一律にクラウドへ移るわけではなく、ネットワーク分離の要請が強い領域では当面オンプレミスが残る判断もありうる。
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