戸別訪問の禁止とは、公職選挙法第138条に基づき、選挙運動として、または特定の候補者への投票を依頼する目的で、戸別に有権者を訪問する行為を禁じる規律である。
候補者や運動員が一軒ずつ家を訪ねて投票をお願いすることはできるのか。戸別訪問の禁止は、選挙運動として有権者の家を個別に訪ねて投票を依頼する行為を禁じるものである。公職選挙法第138条は、何人も選挙に関し、投票を得もしくは得させ、または得させない目的で戸別に訪問することはできないと定める。あわせて、戸別に演説会の開催や演説を行うことの告知、特定の候補者の氏名や政党名の言い歩きも禁じられる。禁止の趣旨は、買収などの不正の温床となりやすいこと、有権者の生活の平穏を害すること、候補者の負担が過大になることなどに求められてきた。この禁止は日本の選挙運動規制の特徴とされ、表現の自由との関係で合憲性が争われたが、最高裁は禁止を合憲と判断している。一方で、戸別訪問の解禁を求める議論も続いている。
禁止の趣旨と合憲性
戸別訪問の禁止の趣旨は、買収や利害誘導などの不正が戸別の訪問という密室で行われる温床となりやすいこと、訪問を受ける有権者の私生活の平穏を害すること、候補者間で訪問件数を競い合って運動が過熱し負担が増すことなどに求められてきた。これらを理由として、選挙運動として戸別に有権者を訪問することは一律に禁じられている。表現の自由を不当に制約するとして合憲性が争われたが、最高裁はこれらの弊害を防止するための合理的で必要やむを得ない限度の制約であるとして、禁止を合憲と判断しており、この立場は判例として定着している。
解禁論
諸外国では戸別訪問を選挙運動の有力な手段として認める例が多く、日本でも、有権者と候補者が直接対話する機会を広げ、政策本位の選挙を促す観点から解禁を求める議論が続いてきた。禁止が表現の自由との関係で過度の規制ではないかという批判や、買収は戸別訪問でなくとも行われうるとの指摘もある。一方で、買収防止や有権者の生活の平穏の保護といった従来の懸念から慎重論も根強い。戸別訪問の規制をどう見直すかは、文書図画やインターネット利用を含む選挙運動規制全体のあり方とともに論じられている。
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