一斉帰宅抑制とは、大都市で大地震が発生した際に、職場や学校にいる人が一斉に徒歩帰宅へ動き出すのを抑え、その場にとどまらせる取り組みである。
東日本大震災の発生直後、首都圏では交通機関が止まった大量の人が一斉に徒歩で帰宅しようとし、歩道が人であふれて救助・消火活動の妨げになり、群集事故の危険も高まった——この教訓から生まれたのが一斉帰宅抑制である。考え方の核心は、発災直後に全員が動き出すと道路が機能麻痺し、本来優先されるべき緊急車両や救助活動が阻害されるため、安全が確認できるまで職場などにとどまる「むやみに移動を開始しない」原則にある。これを支えるため、東京都などは事業者に対し従業員を一定期間施設内にとどめられるよう3日分の水・食料・毛布の備蓄を求める帰宅困難者対策条例を定めている。同時に、どうしても移動する人や行き場のない人のために、一時滞在施設の確保や災害時帰宅支援ステーションによる水・トイレ・情報の提供といった受け皿が用意される。事業者・行政・鉄道事業者が役割を分担し、平時から備蓄と従業員への周知を進めておくことが実効性を左右する。
「むやみに移動を開始しない」という原則
一斉帰宅抑制の根底にあるのは、発災直後に全員が一斉に動くと道路と歩道が人で埋まり、緊急車両の通行や救助活動を妨げるという認識である。東日本大震災では首都圏で大量の徒歩帰宅者が発生し、歩道の混雑や群集事故の危険、沿道の水・トイレ不足が問題になった。この教訓から、家族の安否が確認でき、二次災害の危険が去り、混乱が落ち着くまでは職場や学校にとどまることが、結果として自分と地域の安全につながるとされる。事業者には、従業員を施設内に滞在させ続けられるだけの備蓄と滞在環境を整える責務が課される方向で制度が組まれている。
条例による事業者の備蓄義務
東京都の帰宅困難者対策条例のように、自治体は事業者に対して従業員のための3日分程度の水・食料・毛布などの備蓄を求める形で一斉帰宅抑制を制度化している。これは従業員を一定期間とどめておくための物的な裏付けであり、備蓄がなければ「とどまれ」と言っても従業員は移動せざるを得ない。あわせて、外部の帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保や、徒歩帰宅者を支える災害時帰宅支援ステーションの整備が進められている。
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