ジチテン

移動支援

読み:いどうしえん

意味

移動支援とは、障害者総合支援法第77条第1項第8号に基づく地域生活支援事業の必須事業の一つで、屋外での移動に困難がある障害者(視覚障害・肢体不自由・知的障害・精神障害等)が円滑に外出できるよう、ガイドヘルパー(移動支援従業者)による同行援護・移動の補助を行う事業のことである。

屋外の移動に困難がある障害者は、付き添いの支えがなければ通院や買い物、社会参加もままならず、地域での生活が家の中に閉じてしまう。移動支援は、移動に困難のある障害者が外出する際にガイドヘルパーが同行・補助する地域生活支援事業であり、障害者の外出と社会参加の機会を確保するところに本質がある(障害者総合支援法第77条)。

市区町村が実施主体となり、事業者への委託または直営で運営する。視覚障害者のみを対象とする同行援護と異なり、移動支援は知的障害・精神障害・肢体不自由者を含む広い対象への移動の援助を担う。利用対象・利用料・利用時間の上限・対象とする外出先などの運用詳細は各市区町村の事業実施要綱で定めるため、自治体間で差が大きい。

同行援護・行動援護との違い

障害者の外出支援には三つがある。移動支援は市区町村の裁量で設計される地域生活支援事業、同行援護は視覚障害者を対象に外出時の視覚情報の代替や移動の援護を行う個別給付、行動援護は知的障害・精神障害により自己判断が困難な障害者に行動上の危険を回避するための援護・外出支援を行う個別給付である。同行援護と行動援護は障害者総合支援法の個別給付(国・都道府県の費用負担が義務的)であるのに対し、移動支援は地域生活支援事業(市区町村の裁量部分が大きい)であり、サービス量や対象者の範囲に自治体差が生じやすい。

事業者の指定と人材確保

移動支援事業は市区町村が実施事業者を指定(委託)または認定する。ガイドヘルパー(移動支援従業者)の資格は「移動支援従業者養成研修」(全身性障害・知的・精神障害の各課程)であり、ホームヘルパー資格との重複が多い。都市部では事業者数・ガイドヘルパー数が多いが、地方・中山間地では移動支援を実施できる事業者が少なく、利用の機会が制限される地域がある。移動支援を担うガイドヘルパーはホームヘルパーと資格が重なり人材が限られるため、特に中山間地では担い手の確保が利用の制約となる。事業者が少ない地域では利用したくてもサービスが受けられないという地域間の格差が生じやすい。

市区町村の実施要綱の設計

移動支援の利用対象や上限時間は市区町村の事業実施要綱に委ねられているため、同一都道府県内でも「通勤・通学も支援対象」「一日2時間まで」「余暇外出は対象外」など、大きな差がある。上限時間が少ない自治体の障害者は就労・余暇活動・社会参加が制限されるという問題があり、障害者団体から格差の是正を求める声が上がっている。厚生労働省は自治体ごとの事業実績を調査し、取り組みの充実を促している。移動支援は市区町村の裁量で設計されるため、通勤・通学を対象に含めるか、月の上限時間を何時間にするかといった運用が自治体ごとに異なる。同じ障害があっても住む自治体によって受けられる支援に差が出ることが、制度の公平性をめぐる論点となっている。

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