歩掛とは、ある工事作業を1単位行うために標準的に必要となる労務・材料・機械の所要量を工種ごとに数値化した基準値であり、公共工事の積算で数量・単価と掛け合わせて工事費を算出する際の基礎となるものである。
歩掛は、公共工事の予定価格を積算する際に用いられる標準的な作業量の基準値である。たとえば一定面積の舗装や一定量の掘削に、何人の作業員・どの建設機械・どれだけの材料が必要かを、施工の実態調査に基づいて工種ごとに定めている。発注機関は「数量 × 歩掛 × 単価」という形で各工種の費用を積み上げ、予定価格を算定する。歩掛は施工技術や労働環境の変化に応じて改定され、国土交通省の土木工事標準歩掛をはじめ、各発注機関が積算基準として整備している。現場では「この工種は歩掛が薄い(実態より所要量が少なく見積もられている)」といった形で、積算と実際の施工コストの乖離を語る文脈で用いられることも多い。標準的な工法が確立していない新規・特殊な工事では、歩掛が定められておらず、見積りを徴収して積算する見積比較方式がとられる。
積算における役割
公共工事の費用は、工種ごとに「数量・歩掛・単価」を組み合わせて積み上げる。歩掛はこのうち、1単位の施工に要する労務・材料・機械の標準的な所要量を担う係数であり、数量(施工の規模)と単価(労務単価・材料価格・機械損料)をつなぐ中間項に当たる。たとえば一定区間の管渠布設について、必要な作業員の人数・日数や使用する重機の運転時間を歩掛が示し、これに労務単価や機械損料を乗じることで当該工種の費用が求まる。歩掛が標準化されていることで、発注機関ごと・担当者ごとのばらつきを抑え、予定価格の客観性と透明性を確保できる。受注者側も同じ歩掛を用いて入札見積りを行うため、発注者と受注者が共通の物差しで費用を検討できる。
標準歩掛とその改定
国土交通省は、全国の施工実態調査に基づいて土木工事標準歩掛を定め、土木工事費の積算基準の一部として公表している。多くの地方公共団体はこれに準じ、または独自の積算基準として歩掛を整備して運用する。歩掛は施工機械の性能向上・新工法の普及・労働時間規制などの変化を受けて定期的に改定され、改定によって同じ工事でも積算上の費用が変動する。近年は建設業の働き方改革や資材価格の高騰を反映した見直しが行われており、最新の歩掛を用いて積算しなければ予定価格が実勢と乖離する。発注担当者は、適用する歩掛の年度版を契約図書や積算条件と整合させて管理する必要がある。
歩掛が定められていない工事の扱い
標準的な工法が確立している工種には歩掛が用意されているが、新技術を用いる工事や、現場条件が特殊で標準歩掛をそのまま当てはめられない工事もある。この場合、発注機関は施工業者から見積りを徴収して比較する見積比較方式や、実態に即した特別調査によって所要量を把握し、積算の根拠とする。歩掛のない工事をすべて標準歩掛に無理に当てはめると、実際の施工コストと予定価格が乖離し、入札の不調・不落や、受注後の採算悪化を招く。したがって、対象工事に適切な歩掛が存在するかの見極めは、積算の精度を左右する実務上の判断となる。
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