BPMN(Business Process Model and Notation)とは、業務の流れを記号化された図で表現するための国際標準の表記法である。だれが、どの順序で、どの条件のもとで作業を行うかを共通の記号で描き、関係者の間で業務プロセスの認識をそろえることを目的とする。
業務改善やシステム導入の現場では、担当者ごとに頭の中の手順がばらばらで、どこに無駄や属人化が潜むのかを共有できないまま議論が空転しがちである。BPMNは、その業務プロセスを決まった記号で1枚の図に描き出し、全員が同じ絵を見ながら現状(As-Is)と改善後(To-Be)を比較できるようにするための記法である。
ISO/IEC 19510として標準化されており、開始や終了を表す円、作業を表す角丸四角、分岐を表すひし形、担当者や組織を区切るレーン(プールとスイムレーン)といった記号で構成される。自治体では、定型的な窓口業務や内部の決裁・審査の流れを可視化してBPRや業務の標準化、システム化につなげる場面で用いられ、手書きのフローチャートより厳密に条件分岐や並行処理を表現できる。
記号の体系とBPMNの特徴
BPMNは、限られた種類の記号を組み合わせて業務プロセスを描く。主な要素は、仕事の単位を表すアクティビティ(角丸四角)、開始・中間・終了を表すイベント(円)、条件による分岐や合流を表すゲートウェイ(ひし形)、処理の流れを示すシーケンスフロー(矢印)であり、だれが担当するかをプール(組織)とスイムレーン(役割)で区切って表す。単純な作業の並びだけでなく、条件分岐や並行処理、例外処理、外部とのやり取りまで一つの記法で表現できる点が、手書きのフローチャートと異なる。記号の意味がISO/IEC 19510で定義されているため、描き手が違っても読み手が同じ意味に解釈できる。
自治体の業務改革での使われ方
自治体でBPMNが使われるのは、業務改革(BPR)やデジタル化の前提として、現状の業務プロセスを正確に把握する必要があるからである。窓口手続や内部の決裁、合議の流れをBPMNで描くと、同じ書類を何度も転記している、決裁の階層が深い、特定の職員しか手順を知らないといった非効率や属人化が図の上で見えてくる。総務省や自治体の業務改革の取り組みでも、業務の可視化手法としてBPMNやその簡易版が用いられる。ただし記号の種類が多く、厳密に描こうとすると専門知識が要るため、現場では必要な記号に絞った簡易な書き方で運用されることも多い。図を描くこと自体が目的化し、改善につながらないまま終わる失敗も指摘される。
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