ジチテン

産業クラスター

読み:さんぎょうくらすたー

意味

産業クラスターとは、特定分野で関連し合う企業・大学・研究機関・支援機関などが、地理的に集積して連携することで競争力を高める産業集積の形態である。地域の産業振興政策で、こうした集積の形成・強化を目指す概念として用いられる。

同じ分野の企業や研究機関が一カ所に集まると、人材・技術・情報が行き交い、互いに刺激し合って地域全体の競争力が上がる。この集積のメカニズムを政策的に活かそうとする概念が産業クラスターである。

単に工場が集まる工業団地と異なり、クラスターは企業同士、さらに大学・研究機関・金融・行政・支援機関までを含むネットワークの厚みを重視する。経営学者マイケル・ポーターが提唱した概念で、日本では経済産業省の産業クラスター計画や文部科学省の知的クラスター創成事業が取り組まれた。集積の中では、専門人材の確保、部材の調達、技術の波及、新規創業が起こりやすく、シリコンバレーや各地の地場産業集積が代表例とされる。自治体にとっては、地域の強みのある分野に企業・研究機関を呼び込み、連携の場をつくることでクラスターの核を育てる施策となる。ただし集積は政策だけで生まれるものではなく、地域固有の資源や歴史的な蓄積に左右される。

工業団地・地場産業との違い

産業クラスターは、企業を物理的に集める工業団地とも、歴史的に形成された地場産業とも概念が異なる。工業団地が用地・インフラの提供による立地の集約であるのに対し、クラスターは企業・大学・研究機関・支援機関の間の連携とネットワークそのものを競争力の源泉とみなす。地場産業が地域固有の原材料や伝統技術を背景に自然発生的に育ったのに対し、クラスター政策はそこに大学・研究機関や新規創業を結びつけ、イノベーションを継続的に生む構造へと発展させることを狙う。集積の有無だけでなく、構成主体の間で知識や人材が循環しているかがクラスターの成否を分ける。

政策で「つくる」ことの難しさ

産業クラスターは政策的な後押しで核を育てることはできても、行政が一から人為的につくり出すのは難しい。集積は地域固有の資源、既存企業の蓄積、大学の研究力、人材の厚みといった歴史的条件に強く依存するためである。経済産業省の産業クラスター計画などの国策も、成果に地域差が大きかった。自治体に求められるのは、地域に既にある強みのある分野を見極め、企業・大学・研究機関が出会い連携する場(産学官の連携拠点や交流の機会)を整えて、自律的な連携が回り始める呼び水を打つことである。補助金で企業を一時的に集めても、連携が根づかなければ集積は持続しない。

つながりのある用語

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