防潮堤とは、高潮や津波、波浪による海水の浸入を防ぐため海岸や河口部に設けられる堤防で、海岸法などを根拠に国や自治体が整備・管理する海岸保全施設の一種である。
高潮や津波、波浪による海水の浸入は、沿岸の人命と財産を一気に奪うため、海からの水を物理的に防ぐ施設が要る。防潮堤は、こうした海水の浸入を防ぐために海岸や河口部に設置される堤防であり、海岸法や津波防災地域づくり法を根拠として、国・都道府県・市区町村が整備・管理する海岸保全施設の一種である。
高さや構造、用途によって多様な形態があり、土を盛った堤からコンクリートの直立堤まで、立地に応じて造り分けられる。東日本大震災の大津波は沿岸の防潮堤の多くを越え、また破壊し、「防潮堤があれば安全」という過信が避難の遅れにつながったと指摘された。この教訓から、防潮堤で防ぎきれない津波もあることを前提に、まず逃げることを基本に据え、ハードとソフトを組み合わせて備える考え方へと転換が進んでいる。
三陸沿岸の巨大防潮堤と論争
東日本大震災後、岩手・宮城・福島3県の沿岸部で総延長400km以上(最大高さ15m超)に及ぶ防潮堤の建設が進められた。これに対し「漁業者・住民が海を見えなくなる」「景観・生態系への影響」「維持管理コスト」を理由とした反発が生じ、一部地域では住民合意を経て計画が変更・縮小された。防潮堤の高さは「計画規模(100〜150年に一度)」の津波を基準とし、「想定最大規模」の津波には避難で対応するという二線防御の考え方が採用されている。
市区町村の管理責任
海岸保全施設の管理は海岸法に基づき原則として都道府県が行うが、市区町村に管理を委任する場合もある。市区町村は防潮堤の水門・陸閘(りっこう:道路や鉄道が堤防を横断する箇所の開閉設備)の閉鎖訓練・日常点検を実施する必要がある。とりわけ津波や高潮の際に水門・陸閘を確実に閉鎖できるかが住民の安全を左右するため、操作する担当者の安全の確保とあわせて、平時からの訓練と点検が欠かせない。施設を造って終わりにしない継続的な管理が、防潮堤の機能を支える要となる。
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