増額修正とは、議会が長の提出した予算案について、計上額を増やす方向で修正する議決をいう。
議会は長が編成した予算を丸のみするか否決するしかないのか、それとも自ら金額を積み増せるのか。増額修正は、議会が予算案の歳出等を増やす方向で修正できることを認めるものだが、無制限ではない。地方自治法第97条第2項は、議会は予算について増額して議決することを妨げないとしつつ、長の予算提出権を侵すことはできないと定める。予算の編成・提出は長に専属する権限であり、議会が原案の枠組みを覆すほどの増額をすると、この権限の本質を害してしまうためである。減額修正には同種の明文の制約がなく、議会は比較的自由に減額できるのと対照的に、増額修正には「長の予算提出権の侵害に至らない範囲」という限界が課される。どこまでが許される増額かは個別の事案ごとに判断され、原案の趣旨を大きく変える組替えに及ぶ増額は認められないと解されている。
増額修正の限界——長の予算提出権との調整
地方自治法第97条第2項は、議会が予算を増額して議決することを認めつつ、長の予算提出権を侵すことはできないと定める。これは予算の編成・提出が長に専属する権限であること(同法第112条第1項ただし書・第211条)に由来する。議会が予算原案の大枠を覆すような大幅な増額や、原案にない新規事業を起こすほどの組替えを行うと、長が責任をもって編成した予算の同一性が失われ、提出権の本質を害すると解される。このため増額修正は、原案の趣旨・目的の範囲内で計上額を積み増す程度にとどまるべきものとされ、どこまでが許容範囲かは予算の規模・内容に照らして個別に判断される。減額修正には同項のような明文の制約がなく、議会は原案を減額する方向では比較的広い裁量を持つ点と対照的である。
修正議決の効果と長の対応手段
議会が増額修正を含む予算の修正議決をした場合、長はこれを不服として再議に付すことができる(地方自治法第176条第1項)。再議では出席議員の過半数で再び同じ議決をすれば修正は確定するが、長がなお当該議決を違法と判断する場合には、提出権の侵害等を理由に審査の申立てや出訴に進む余地もある。実務では、増額修正の限界をめぐる長と議会の見解の相違は、予算審議の段階での調整や、執行段階での予算流用・補正予算の活用によって回避されることが多い。増額修正そのものは現に行われうる議会の権限であるが、その行使には第97条第2項の限界と再議という長側の歯止めが組み合わさっている。
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