前面道路とは、建築物の敷地が接する道路のうち、建築基準法上の各種制限の基準として用いられる、敷地の主たる接道部分の道路をいう。
敷地に建てられる建物の規模や高さは、その敷地が面する道路の幅によって左右される。前面道路は、接道義務や容積率、道路斜線制限など、建築基準法の複数の制限が共通して基準とする概念であり、同じ用途地域・同じ広さの敷地でも、面する道路が狭ければ建てられる建物は小さくなる。
接道義務では、敷地が幅員4メートル以上の道路(建築基準法上の道路)に2メートル以上接していなければ原則として建築できず、ここで接する道路が前面道路にあたる。容積率では、前面道路の幅員が12メートル未満のとき、その幅員に法定の係数を掛けた数値が指定容積率より小さければ上限となる(前面道路幅員による容積率制限)。道路斜線制限では、前面道路の反対側の境界線を起点に建物の高さが抑えられる。敷地が複数の道路に接する場合は、原則として幅の広い道路を前面道路として扱う。前面道路の幅が4メートルに満たない二項道路では、道路中心線から2メートルの線まで敷地を後退(セットバック)させ、後退した部分は前面道路の一部とみなされる。
前面道路が建築規制の共通基準になる理由
前面道路は、建築基準法の複数の制限が同時に基準とする結節点である。なぜ道路の幅が建物の規模を決めるのかといえば、道路は通行だけでなく、採光・通風・消防活動・避難の経路を担うインフラだからである。狭い道路に大きな建物が集まれば、交通がさばけず、火災時に消防車が入れず、日照や通風も失われる。そこで建築基準法は、敷地が一定幅の道路に接することを求める接道義務(第43条)を入口に置き、容積率の前面道路幅員による制限(第52条第2項)で建物の床面積総量を道路の容量に見合う範囲に抑え、道路斜線制限(第56条)で道路上空の見通しと採光を確保する。これらはいずれも前面道路の幅員を変数として制限の強さが決まるため、敷地の建築可能なボリュームを検討するうえで前面道路の幅員と建築基準法上の道路該当性の確認が最初の作業になる。
道路の認定と複数接道の扱い
前面道路として扱うには、その道路が建築基準法上の道路に該当しなければならない。幅員4メートル以上の道路法上の道路や開発許可で築造された道路のほか、法施行時に既に建物が立ち並んでいた幅員4メートル未満の道は二項道路(みなし道路)として道路に該当し、この場合は中心線から2メートル後退した線が道路境界線とみなされる。敷地が二つ以上の道路に接する角地などでは、容積率制限では原則として最も広い幅員の道路を前面道路とし、道路斜線制限では各道路ごとに緩和を加味して判定する。前面道路に該当する道路が存在しない、いわゆる無接道の敷地は、原則として建築確認を受けられず、建替えが困難な再建築不可の土地となる。このため不動産取引や空き家の利活用では、前面道路の幅員と種別が重要な確認事項となる。
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