ジチテン

全部改正

読み:ぜんぶかいせい

意味

全部改正とは、既存の法令や例規について、題名・法令番号などの同一性を保ったまま、本則の全体を新たな条文に置き換える改正方式をいう。

条例改正箇所が広範に及び、一つひとつを改め文で直していては煩雑にすぎるとき、自治体の法務担当は本則をまるごと書き換える全部改正を選ぶ。全部改正は、法令の同一性(制定時の法令番号・題名・沿革)を維持しながら、本則のすべてを新しい条文に置き換える改正方式である。形式の上では「○○条例(昭和○年○○市条例第○号)の全部を改正する」という改正文に続けて、改正後の全条文を掲げる。一部改正が既存条文に改め文を溶け込ませるのに対し、全部改正は本則を入れ替えるため、改正後の姿が一目で把握できる利点がある。一方で、旧法令を廃止して新たな法令を制定する廃止制定とは、法令の同一性が保たれる点で決定的に異なる。全部改正では、改正前の規定に基づいて生じた権利義務や手続の取扱いを附則経過措置で引き継ぐのが通例で、これにより制度の連続性が確保される。担当課にとっては、改正の規模・題名変更の要否・沿革を残す必要性を踏まえ、一部改正・全部改正・廃止制定のいずれを採るかを見極めることが、例規整備の判断の核心となる。

全部改正・一部改正・廃止制定の区別

既存の法令・例規を改める方式には、一部改正・全部改正・廃止制定の三つがある。一部改正は、限られた箇所を改め文で修正する原則的な方式である。全部改正は、改正が広範に及び改め文では煩雑になる場合に、本則全体を新たな条文に置き換える方式で、法令番号・題名・制定時からの沿革という法令の同一性は維持される。廃止制定は、旧法令を廃止条例等で廃止したうえで全く新しい法令を制定するもので、法令の同一性が断たれる点で全部改正と決定的に異なる。三者の選択は、改正の量だけでなく、これまでの沿革を引き継ぐべきか、題名を変える必要があるか、旧制度との断絶を明確にすべきかといった政策的判断も絡む。題名を変えたい場合は廃止制定または一部改正による題名改正を検討し、沿革を残したまま全面的に書き換えたい場合は全部改正を選ぶのが基本的な整理である。

全部改正における附則と経過措置

全部改正では本則のすべてが新条文に置き換わるため、改正前の規定に基づいて生じていた権利義務関係や進行中の手続をどう扱うかが問題となる。これを処理するのが附則の経過措置である。たとえば、改正前の規定に基づいてされた申請許可を改正後の規定によるものとみなす規定、施行日前に着手した事務に従前の例を適用する規定などを附則で定める。経過措置の設計を誤ると、改正の前後で適用関係に空白や矛盾が生じ、住民の権利義務に影響が及ぶため、全部改正の法制執務では本則の書き換え以上に附則の経過措置の検討が重要となる。施行期日も附則で定め、周知や準備に要する期間を見込んで公布から施行までに一定の間隔を置くのが通例である。

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