ジチテン

財政の硬直化

読み:ざいせいのこうちょくか

別名:財政硬直化
意味

財政の硬直化とは、歳入の大部分が人件費・扶助費・公債費などの経常的な義務的経費に充てられ、新規施策や臨時の支出に振り向けられる一般財源の余地が乏しくなった財政状態をいう。

新しい事業をやりたくても回せる金が残っていない、という台詞は財政担当の現場でよく聞かれる。財政の硬直化とは、毎年度ほぼ確実に入る一般財源の多くが既に決まった支出に拘束され、政策判断で動かせる余地が小さくなった状態を指す。

硬直化の度合いは経常収支比率で測られ、経常的経費に充てた経常一般財源等を経常一般財源等で除して百分率で示す。比率が高いほど人件費扶助費公債費といった反復的な支出に経常収入が食われていることを意味し、おおむね90パーセントを超えると相当程度に硬直化していると評価される。硬直化が進む主な原因は、社会保障関係の扶助費の増大、過去に発行した地方債元利償還を担う公債費の累積、人件費の高止まりである。硬直化した団体では、災害復旧や感染症対応のような臨時の財政需要が生じたとき、財政調整基金の取崩しや起債に頼らざるをえず、財政運営の自由度が一段と狭まる。財政担当者は経常収支比率の経年推移と類似団体比較を決算後に分析し、義務的経費の抑制策と歳入確保策を中期財政計画へ落とし込むことで硬直化の緩和を図る。

硬直化の進む構造的な要因

財政の硬直化は単年度の景気変動より、構造的な要因の積み重なりで進む。第一に少子高齢化に伴う扶助費の増大があり、生活保護費・障害者自立支援給付費・児童手当などの法定の給付が歳出を押し上げる。第二に過去の建設事業で発行した地方債の元利償還金、すなわち公債費が後年度に重くのしかかる。第三に定員適正化が進んでも一定規模で残る人件費がある。これらはいずれも年度途中で削りにくい義務的経費であり、景気が悪化して税収が落ち込んでも支出が連動して減らないため、税収の変動局面で経常収支比率が跳ね上がりやすい。地方交付税の減少もまた一般財源総額を細らせ、硬直化を加速させる要因となる。

硬直化への対処と財政運営

硬直化した財政を立て直す手段は、義務的経費の抑制と新たな一般財源の確保の二本立てとなる。歳出面では定員管理による人件費の抑制、繰上償還満期一括償還の見直しによる公債費の平準化、補助費等繰出金の点検整理が中心となる。歳入面では地方税徴収率向上、遊休資産の売却、使用料手数料の見直し、ふるさと納税の活用などで自主財源を厚くする。これらを中期財政計画に位置づけ、経常収支比率の改善目標と達成年度を示すことが財政再建の道筋となる。硬直化が深刻化して財政健全化判断比率早期健全化基準を超えれば、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく財政健全化計画の策定義務が生じ、自主的な改善の段階を超えた法的対応に移行する。

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