ジチテン

財政民主主義

読み:ざいせいみんしゅしゅぎ

意味

財政民主主義とは、国や地方公共団体の財政運営は国民・住民の代表機関である議会の議決に基づいて行われなければならないとする原則である(憲法第83条)。

自治体予算決算は、なぜ毎年議会の議決や認定を経なければならないのか。その根拠を支える原則が財政民主主義である。日本国憲法第83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定め、課税・歳入の調達から歳出の使途に至るまで、住民の負担と便益に関わる財政の決定権を住民の代表機関に委ねるという近代立憲国家の基本原則を表す。地方財政では、地方自治法予算の事前議決(第211条)、決算の認定(第233条)、財政状況の公表(第243条の3)などを義務づけ、首長が編成・執行する財政運営に議会の統制を及ぼす仕組みとしてこの原則を具体化している。税の側面で課税には法律・条例の根拠を要するとする租税法律主義が、歳出・財政運営の側面では財政民主主義が対応し、両者は自治体財政の正当性を支える車の両輪をなす。住民監査請求や財政状況の公開といった住民による直接的な統制の仕組みも、議会を介した間接的な統制を補完する財政民主主義の現れである。

予算・決算における具体化

地方財政において財政民主主義は、予算と決算をめぐる議会統制として最も明確に現れる。地方自治法第211条は、首長が会計年度ごとに予算を調製し年度開始前に議会の議決を経なければならないと定め(予算の事前議決の原則)、住民の代表機関が歳入歳出の規模と使途をあらかじめ承認する仕組みを置く。執行後は同法第233条により、首長が決算を監査委員の審査に付したうえで議会の認定に付し、財政運営が予算どおり適正に行われたかを事後的に検証する。さらに同法第243条の3は財政状況を年2回以上公表することを義務づけ、住民が自治体財政を監視する前提となる情報を保障する。これらの一連の手続は、財政の決定と検証の権限を住民代表に帰属させるという原則を制度として体現したものである。

租税法律主義との対応関係

財政民主主義はしばしば租税法律主義と一対で論じられる。租税法律主義(憲法第84条)が「税を課すには法律・条例の根拠を要する」という歳入・課税の側面の統制を担うのに対し、財政民主主義(憲法第83条)は予算・決算・財政運営という歳出を含む財政全般の側面の統制を担う。地方では、課税が地方税条例主義として条例の根拠を要し、歳出が予算の議決を要するという形で、いずれも議会の関与のもとで住民の意思を財政に反映させる構造になっている。両原則は別個の条文に根拠を持つが、財政の正当性を住民代表の承認に求める点で同根であり、自治体財政の説明責任を理解するうえで併せて押さえる必要がある。

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