要保護児童とは、児童福祉法第6条の3第8項に定める、保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童をいう。
虐待を受けている子、保護者が病気や受刑で養育できない子、保護者そのものがいない子を、行政はどの根拠でどこまで関与できるのか。その入口を画す概念が要保護児童である。親が現に監護していても、放置や養育の怠りによって監護を委ねることが不適当と判断されれば該当し、市町村や児童相談所による調査・指導・一時保護・施設入所措置・里親委託といった介入の対象となる。一時保護や施設入所措置の要件、要保護児童対策地域協議会(要対協)が情報を共有する対象、社会的養護が受け皿となる児童の範囲は、いずれもこの要保護児童の該当性を起点に組み立てられている。乳児家庭全戸訪問や乳幼児健診で養育上の懸念を把握した段階では、より広い概念である要支援児童(支援を要するが分離までは不要な児童)や特定妊婦として扱い、状況が深刻化すれば要保護児童へと位置づけが移る。誰を要保護児童とみなすかは、家庭への立ち入りや親子分離という強い権限行使の正当化に直結するため、現場は慎重な事実認定を迫られる場面である。
要保護・要支援・特定妊婦の3区分
児童福祉法は、市町村と児童相談所が把握・支援すべき対象を段階で整理している。要保護児童は「保護者のない児童」または「保護者に監護させることが不適当な児童」で、虐待を受けた児童や非行児童、保護者が死亡・行方不明・受刑中の児童などが含まれる。これに対し要支援児童は、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童で、分離までは要しないが見守りや家庭支援を要する層を指す。特定妊婦は出産後の養育について出産前から支援が必要と認められる妊婦である。要対協はこの3区分すべてを情報共有の対象とし、いずれも市町村が中心となって調査・支援方針を定める。区分は固定でなく、要支援から要保護へ深刻化したり、逆に支援によって要保護を脱したりする連続線として運用される。
把握から介入までの流れ
要保護児童を発見した者には児童福祉法第25条の通告義務があり、市町村・児童相談所・福祉事務所のいずれかへ通告する。通告を受けた児童相談所は安全確認を行い、必要に応じて児童福祉法第33条に基づく一時保護で子をいったん家庭から分離する。その後の援助方針として、在宅での指導措置、児童養護施設や乳児院への施設入所措置(第27条第1項第3号)、里親委託などが選択される。保護者が施設入所等に同意しない場合は、家庭裁判所の承認を得る第28条措置によって分離を行う仕組みがあり、親権者の意に反する分離には司法審査が介在する。これらの措置はいずれも対象児童が要保護児童に該当することを前提とするため、該当性の判断が一連の手続の起点となる。
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