津波災害警戒区域とは、津波防災地域づくり法に基づき、津波が発生した場合に住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある区域として都道府県知事が指定する区域であり、警戒避難体制を整備すべき区域である。
海沿いの市区町村で津波からの避難計画を立てるとき、どの範囲を警戒対象とするかの基準になるのが津波災害警戒区域である。都道府県知事が津波浸水想定を設定したうえで、最大クラスの津波で浸水が見込まれる区域を指定する。通称イエローゾーンと呼ばれ、土砂災害警戒区域と同様に「危険を知らせて備えさせる」ソフト対策の区域である。指定されると、市町村は地域防災計画に避難施設や避難経路、情報伝達の方法を定め、ハザードマップを作成・周知する義務を負う。区域内の病院・学校・社会福祉施設などの要配慮者利用施設は、避難確保計画の作成と避難訓練の実施を義務付けられる。区域指定そのものは建築や開発を直接制限しないため、より厳しい規制を伴う津波災害特別警戒区域(オレンジゾーン)と区別して運用される。
指定の前提となる津波浸水想定
津波災害警戒区域の指定は、都道府県知事が定める津波浸水想定を土台とする。これは最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合に浸水が想定される区域と水深を示すもので、海岸線の地形や地盤、防潮堤の有無を踏まえて科学的に算定される。知事はこの想定をもとに、住民の生命・身体に危害が生じるおそれがある区域を警戒区域として指定する。指定にあたっては関係市町村長の意見を聴き、区域と基準水位を公示する。基準水位は避難先の高さを判断する目安となり、津波避難ビルや一時滞在施設の指定、避難経路の設計に用いられる。土砂災害警戒区域が土砂災害防止法に基づくのに対し、こちらは津波防災地域づくり法を根拠とする点が制度上の違いである。
区域内の警戒避難体制と要配慮者施設
警戒区域に指定された市町村は、地域防災計画に避難施設・避難経路・情報伝達体制を具体的に位置づけ、その内容を盛り込んだハザードマップを住民に配布して周知する。区域内に立地する主として防災上の配慮を要する者が利用する施設、すなわち病院・幼稚園・学校・高齢者福祉施設などの要配慮者利用施設の所有者・管理者は、津波からの避難を確実にするため避難確保計画を作成し、市町村長へ報告したうえで避難訓練を実施する義務を負う。これにより、自力避難が難しい利用者を抱える施設でも、津波警報の発表から避難完了までの行動が事前に定められる。区域の指定は建築規制を伴わないため、規制を伴う特別警戒区域とあわせて、地域の津波リスクに応じた二段構えの対策として理解される。
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