津波とは、海底地震や海底地すべり、火山活動などによって海水が押し上げられ、周期の長い大きな波となって沿岸に押し寄せる現象をいう。
沿岸の自治体は、津波からどう住民を逃がし、まちをどう備えるのか。これは地震防災と並ぶ沿岸部の中核課題である。津波は風で起こる通常の波とは異なり、波長が数キロから数百キロにおよぶため、海岸に達すると海水全体が壁のように陸へ駆け上がり、第一波より後続波のほうが大きいことも多い。気象庁は地震発生後に津波警報・注意報を発表し、予想される高さに応じて大津波警報・津波警報・津波注意報の三段階で住民の避難を促す。自治体は津波浸水想定をもとに津波ハザードマップを作り、津波避難ビルや避難経路を指定し、津波防災地域づくり法に基づく区域指定や避難確保の枠組みと組み合わせて備える。東日本大震災では防潮堤を越える津波が甚大な被害をもたらし、構造物による防御だけでなく早期避難を前提とした対策へと考え方が転換した。
津波警報・注意報の三段階と避難
気象庁は地震を検知すると、その規模と位置から津波の発生を即座に予測し、地震発生後おおむね三分を目標に津波警報・注意報を発表する。区分は、予想される津波の高さが三メートルを超える場合の大津波警報、一メートルを超え三メートル以下の津波警報、二十センチメートル以上一メートル以下の津波注意報の三段階で、当初は規模が確定しないため「巨大」「高い」といった定性的表現で最大級の警戒を呼びかけ、その後数値に切り替える運用をとる。大津波警報・津波警報が出た沿岸では、自治体は高齢者等避難や避難指示を発令し、住民は標高の高い場所や津波避難ビルへ直ちに移動する。津波は第一波の到達が早く後続波がより高いこともあるため、警報・注意報が解除されるまで海岸へ戻らないことが原則となる。
構造物防御から早期避難への転換
東日本大震災以前の津波対策は、防潮堤や防波堤で津波を防ぐ構造物中心の発想が主流だったが、想定をはるかに超える津波が施設を乗り越えて甚大な被害をもたらしたことで、考え方が大きく転換した。設計の基準となる津波を、発生頻度は高いが規模が比較的小さい津波(おおむね数十年から百数十年に一度)と、発生頻度は低いが甚大な被害をもたらす最大クラスの津波の二段階で捉え、前者は防潮堤などの構造物で防ぎ、後者は構造物では防ぎきれない前提で住民の避難により命を守るという「多重防御」の考え方が、二〇一一年制定の津波防災地域づくり法に取り入れられた。自治体はこの枠組みのもと、津波浸水想定の設定、津波災害警戒区域・特別警戒区域の指定、避難確保の計画づくりを進め、ハード対策とソフト対策を組み合わせて沿岸の安全を高める設計になっている。
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