ジチテン

到達主義

読み:とうたつしゅぎ

意味

到達主義とは、意思表示や通知が相手方に到達した時点でその効力が生じるとする原則である。発信した時点で効力を認める発信主義に対する考え方であり、行政法上は処分の通知や送達の効力発生時期を画する基準として用いられる。

処分の通知をいつ「届いた」とみなすかは、不服申立てや出訴の期間がいつから進むかを左右する実務上の重大事である。行政法の通説・判例は到達主義をとり、書類が名あて人の了知しうる状態に置かれた時、すなわち本人や同居人が現実に受け取ったり、郵便受けに投函されて読もうと思えば読める状態になった時に到達があったと解する。本人が実際に開封・閲読したか否かは問わない。

この原則の意味は、効力発生の時点を発信者の手を離れた客観的事実に係らしめる点にある。発信主義であれば発送の事実さえあれば期間が進行してしまい、配達の遅延や不着のリスクを名あて人が一方的に負う。到達主義はそのリスクを発信側に置き、相手方が了知できる状態になって初めて期間を進めることで、教示された権利行使の機会を実質的に保障する。電子申請ではシステムに記録された到達時刻が、郵送では配達の事実が、それぞれ到達の認定資料となる。

期間計算の起点としての到達

到達主義が実務で最も重く働くのは、不服申立期間や出訴期間といった争訟期間の起算である。処分の通知が到達した日の翌日から期間が進行するため、到達日をいつと認定するかで権利行使の期限が一日単位で動く。行政不服審査法行政事件訴訟法は処分を「知った日」を起算点とするが、通知が現実に到達して名あて人が了知しうる状態になれば、特段の事情がない限りその日に処分を知ったと推認される。郵便の不在配達で郵便局に留め置かれた場合や、受領を拒否した場合に到達があったといえるかは個別事情で判断され、受領拒否は信義則上到達があったと扱われることが多い。到達時期の立証のため、重要な処分の通知には配達記録の残る方法が用いられる。

送達公示送達との関係

到達主義は、書類が名あて人へ適法に送達されて初めて処分の効力が生じるという送達の制度を支える原則である。名あて人の所在が不明で通常の方法では到達させられない場合には、公示送達という擬制的な手段がとられ、掲示等から一定期間の経過をもって到達があったものとみなす。これは到達主義を貫けない例外的場面で、相手方の了知可能性を擬制によって補う仕組みである。なお民事の契約意思表示でも到達主義が原則とされ(民法第97条第1項)、行政法上の通知もこれと整合的に理解されている。

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