取立とは、滞納処分で差し押さえた金銭債権について、地方団体が第三債務者から直接その履行を受けて滞納税に充てる手続をいう。
預金や給与、売掛金といった金銭債権を差し押さえた後、自治体はどのようにして現金を回収するのか。動産や不動産であれば公売による換価を要するのに対し、金銭債権の差押えでは取立てによって第三債務者(銀行・勤務先・取引先など)から直接支払を受けるため、公売の手続を経ない。差押えの効力が生じると地方団体は滞納者に代わって取立権を取得し、第三債務者に対して履行を請求できる。第三債務者が任意に支払わない場合は取立訴訟により履行を求めることもできる。取立てによって受け入れた金銭は配当・充当の手続を経て本税・延滞金・加算金等に充てられる。預金差押えでは差押通知の到達時点の残高が対象となるなど、債権の種類ごとに取立可能な範囲が異なるため、債権差押えの実務では取立ての時期と範囲の判断が回収額を左右する。
換価を要しない回収手段
滞納処分による財産の換価は原則として公売によるが、金銭債権を差し押さえた場合は換価ではなく取立てによって回収する。これは金銭債権が差押えの時点で既に金銭的価値を備えており、売却して金銭に換える必要がないためである。差押えにより地方団体は取立権を取得し、第三債務者は滞納者に弁済しても地方団体に対抗できなくなる。給与債権では毎月の支給のつど差押禁止額を超える部分を取り立て、預金債権では差押通知到達時の残高を取り立てるなど、債権の性質により取立ての方法と範囲が分かれる。第三債務者が支払を拒む場合、地方団体は取立訴訟を提起して履行を求めることができ、これにより回収を実現する。取り立てた金銭は配当の手続を経て滞納者の地方税等へ充当される。
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