当局とは、職員団体との交渉や労使関係の文脈で、職員側に対する任命権者・使用者の側、すなわち地方公共団体の管理運営に責任を負う側を指す呼称である。
職員団体との交渉や苦情処理の場面で出てくる「当局」とは、誰を指すのか。地方公務員の労使関係では、職員側を代表する職員団体に対し、勤務条件を決定し管理運営の責任を負う側を「当局」と呼ぶ。具体的には任命権者やその補助機関である人事担当部局がこれにあたり、給与・勤務時間その他の勤務条件は当局が条例や規則に基づいて決定する。職員団体は勤務条件について当局と交渉できるが、民間の労働協約のような協定締結権はなく、合意は書面協定にとどまる。庁内では「当局回答」「当局案」のように、交渉や協議における使用者側の提案・見解を指して用いることも多い。誰が当局として交渉に応じるかは、交渉事項を管理する権限を持つ機関かどうかで決まる。
当局という呼称が指す範囲
当局は法令上の定義語ではなく、労使関係の慣用語である。地方公務員法は職員団体と地方公共団体の当局との交渉を定めるが(第55条)、誰が当局にあたるかは交渉事項の管理運営権限を持つ機関で判断される。給与や勤務時間など条例事項は、その案を調製する人事担当部局や、決定権を持つ任命権者が当局となる。職員団体から適法な交渉の申入れがあれば、当局はこれに応ずべき地位に立つが、これは団結権・交渉権を背景とした応諾義務であって、合意内容に法的拘束力を持つ労働協約を結ぶ義務ではない。管理運営事項は交渉の対象外であり、その範囲をめぐっては当局と職員団体で見解が分かれることがある。
交渉における当局の立ち位置
交渉では、当局は使用者側として職員団体と勤務条件を協議するが、地方公務員には争議行為が禁止されており、団体交渉も民間とは性格が異なる。給与決定は給与条例主義の下で議会の議決を要するため、当局が交渉で示す回答も最終的には条例改正案として議会に諮られる。人事委員会を置く団体では、当局の給与改定は人事委員会勧告を踏まえて行われ、当局はその勧告と財政事情を勘案して給与改定案をまとめる。こうした制約から、当局の回答は交渉の場での合意だけで完結せず、議会や勧告制度と連動して形づくられる点に特徴がある。
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