特定災害対策本部とは、災害対策基本法に基づき、非常災害対策本部の設置に至らない規模の災害が発生し又は発生するおそれがある場合に、防災担当大臣を本部長として内閣府に臨時に設置される政府の災害対策本部をいう。
災害規模が政府としての対応を要する水準に達したとき、内閣はどの段階の本部を立ち上げるかを判断する。特定災害対策本部は、令和3年の災害対策基本法改正で新設された最も軽い段階の政府本部であり、それまで非常災害対策本部に至らない事案で根拠を欠いたまま行われていた政府の初動調整に法的位置付けを与えるものである。設置の閣議決定を経ず、防災担当大臣が本部長を務める点で、内閣総理大臣を本部長とする非常災害対策本部・緊急災害対策本部と区別される。所管事務は関係行政機関の災害応急対策の総合調整であり、本部長は指定行政機関の長等に対し必要な指示を行える。被害が拡大すれば非常災害対策本部へ格上げされ、特定災害対策本部は廃止される。政府本部の三段階(特定・非常・緊急)のうち、現場の被害規模に応じた発動水準を理解しておくことが、自治体側が国の支援体制を見通すうえで前提になる。
政府の災害対策本部の三段階
災害対策基本法は、政府が設置する災害対策本部を被害規模に応じて三段階に整理している。最も重い緊急災害対策本部(同法28条の2)は、著しく異常かつ激甚な非常災害に対し閣議にかけて設置され、内閣総理大臣が本部長となる。非常災害対策本部(同法24条)は非常災害が発生した場合に設置され、これも内閣総理大臣が本部長を務める。これらに至らない災害に対応するのが特定災害対策本部(同法23条の2)であり、令和3年改正で新設された。設置は閣議決定を要さず、防災担当大臣(内閣府特命担当大臣)を本部長とする点が上位二本部と異なる。三段階は被害の拡大に応じて格上げされ、下位本部は上位本部の設置とともに廃止される。
新設の背景と都道府県本部との関係
令和3年改正前は、非常災害対策本部の設置基準に達しない災害について、政府は内閣府を中心とした情報連絡室や対策室で対応していたが、これらは法に根拠を持たない運用上の組織であった。特定災害対策本部の創設により、被害が中規模の段階から政府が法的根拠をもって関係機関を総合調整できるようになった。本部長たる防災担当大臣は、指定行政機関の長・地方公共団体の長等に対し、所掌事務について必要な指示を行うことができる。自治体側では、災害対策基本法に基づき都道府県・市町村が設置する災害対策本部が現場対応の中核を担い、政府の特定災害対策本部はこれら自治体本部の活動を国レベルで後方支援・調整する関係に立つ。
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