特定工場とは、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(公害防止組織法)に基づき、ばい煙・汚水・騒音などの公害を発生させる施設を有するとして、公害防止組織の整備義務が課される工場である。
公害防止の義務をすべての工場に一律に課せば、小規模な事業所まで過剰な負担を負うことになる。そこで公害防止組織法は、対象を一定の業種・規模に絞り、それを特定工場として定義したうえで公害防止統括者や公害防止管理者の選任義務を課す。特定工場に当たるかどうかは、製造業など政令で定める業種に属し、かつばい煙発生施設・汚水等排出施設・粉じん発生施設・騒音発生施設・振動発生施設のいずれかを設置していること、という二つの軸で判定される。担当課にとって、ある工場が特定工場に該当するか否かは、公害防止組織関係の選任・届出義務が発生するかを左右する入口の判断であり、新増設の相談時にまず確認する事項になる。大気汚染防止法や水質汚濁防止法の規制対象施設の概念とも重なるが、特定工場は「公害防止組織を整備すべき単位」を切り出すための独自の括りである点に注意を要する。
該当判定の二つの軸
特定工場の該当性は、業種要件と施設要件の両方を満たすかで決まる。業種要件は、製造業(物品の加工業を含む)・電気供給業・ガス供給業・熱供給業のいずれかに属することである。施設要件は、ばい煙発生施設・特定粉じん発生施設・一般粉じん発生施設・汚水等排出施設・騒音発生施設・振動発生施設・ダイオキシン類発生施設のいずれかを設置していることである。両者を満たして初めて公害防止組織法上の特定工場となり、公害防止統括者や公害防止管理者の選任・届出義務が生じる。施設の種類と工場の規模(排出量・原料使用量等)に応じて、選任すべき管理者の資格区分や主任管理者の要否が変わるため、該当判定は単なる「あり/なし」ではなく、どの役職をどの資格で置くかまで規定する起点になる。
他の公害規制法の対象との違い
特定工場の括りは、大気汚染防止法のばい煙発生施設や水質汚濁防止法の特定施設といった、個別の公害規制法が定める規制対象施設の概念と大きく重なる。実際、特定工場の施設要件はこれらの規制法の施設区分を引用して定められている。ただし個別規制法が「排出基準を守らせる」ことを目的に施設を捉えるのに対し、公害防止組織法は「公害防止を担う組織・人を置かせる」ことを目的に工場単位で捉える点が異なる。担当課の実務では、同じ工場が大気・水質の規制対象であると同時に特定工場でもあり、排出基準遵守の監督と公害防止組織の選任監督という二系統の指導が並行する。両者を混同せず、どの法のどの義務かを切り分けて指導する必要がある。
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