特定建設工事共同企業体(特定JV)とは、大規模または技術的難度の高い一件の工事を共同施工するため、その工事ごとに結成し完成・引渡しで解散する建設共同企業体(JV)の形態である。
単独では受注できない大型工事に中小・中堅の建設業者が参加できるのは、複数社が技術と資金を持ち寄って特定JVを組むからである。特定JVは案件ごとに結成される一回限りの組織で、発注機関の入札公告で「特定JVによる参加」が条件として示されると、業者は自社の格付や工事実績を満たす相手と組んで一つの共同企業体として応札する。構成員は出資割合に応じて損益を分担し、発注者に対しては連帯して契約上の責任を負う。代表構成員(スポンサー)を定め、その者が施工と会計の中心を担う。工事が完成し引渡しが済むと共同企業体は解散する点が、一定期間存続する経常建設共同企業体と決定的に異なる。発注者は技術力の補完や受注機会の確保、地元業者の育成といった政策目的から、一定規模以上の工事に特定JVの結成を求めることがある。
結成要件と構成員の責任
特定JVの構成員数は通常2〜3社程度に限られ、各社が当該工事の施工に必要な技術者や実績を備えていることを要する。発注機関は工事の種類・規模に応じて、構成員それぞれが満たすべき格付や同種工事の施工実績、出資比率の下限(最小構成員でも一定割合以上)をあらかじめ定める。構成員は共同企業体協定書を締結し、発注者に対しては各構成員が連帯して工事完成義務と契約上の責任を負う。一社が倒産・離脱しても残る構成員が工事を完成させる義務を負うため、発注者にとっては単独受注より履行の確実性が高まる側面がある。出資割合は損益分担と原則一致し、各構成員はその割合に応じて資金と人員を拠出する。
経常建設共同企業体との違い
特定JVと経常建設共同企業体(経常JV)は、いずれも建設共同企業体だが結成の目的と存続期間が異なる。特定JVは大規模・高難度の一件の工事のために結成され、その工事の完成・引渡しで解散する一回限りの組織である。これに対し経常JVは、中小建設業者が単体では受注しにくい工事を継続的に受注できるよう、一定期間(通常は経営事項審査の有効期間に合わせた1年程度)にわたり結成しておくものであり、その期間内であれば複数の工事を受注できる。発注者は前者を「一件大型工事の技術力補完」、後者を「中小業者の経営基盤強化・受注機会の確保」という別個の政策目的で使い分ける。入札参加資格の登録段階で経常JVを編成しておく経常JVに対し、特定JVは個別工事の公告ごとに編成する点も実務上の大きな違いである。
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