特定空家等とは、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態など一定の状態にあると市町村が認定した空家等をいう。
空き家のうち、近隣に実害を及ぼしかねない危険・不衛生な状態のものを市町村が法的に切り出すための区分が特定空家等である。空家法は、(1)倒壊等著しく保安上危険となるおそれ、(2)著しく衛生上有害となるおそれ、(3)管理が行き届かず著しく景観を損なっている、(4)その他周辺の生活環境の保全のため放置が不適切、のいずれかに該当する状態を特定空家等の要件とする。市町村は特定空家等と認定すると、所有者へ助言・指導、勧告、命令と段階的に措置を強め、命令に従わない場合は行政代執行により除却等を行える。勧告を受けると住宅用地に係る固定資産税の課税標準の特例が解除され、税負担が増す点が所有者にとって重い帰結となる。認定には個別の状態確認と所有者調査が必要で、市町村の体制づくりが運用の前提となる。
認定から代執行までの措置の段階
空家法は特定空家等への措置を段階構造で定める。市町村は立入調査等で状態を確認し特定空家等と認定したうえで、まず除却・修繕・立木竹の伐採等を所有者へ助言・指導する。改善されなければ相当の猶予期限を付して勧告し、なお措置がとられないときは命令を発する。命令にも従わない、または所有者を確知できない場合は行政代執行法の手続により市町村が自ら除却等を行い、費用を所有者へ請求する。各段階は手続保障を伴い、命令前には意見書提出の機会を与える。
勧告による固定資産税の住宅用地特例の解除
特定空家等の制度で実務上の効き目が大きいのは税負担である。住宅が建つ土地は固定資産税の課税標準が小規模住宅用地で6分の1、一般住宅用地で3分の1に軽減されているが、特定空家等として勧告を受けた敷地はこの住宅用地特例の対象から外れる。結果として土地の固定資産税が最大で数倍に増え、危険な空き家を放置するほど税が軽いという従来の矛盾が是正される。これにより所有者へ除却・活用の経済的動機を与える設計であり、認定・勧告は除却の前段としてだけでなく税の適正化の手段としても機能する。
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