特設公衆電話とは、災害時の通信確保のため、避難所となる施設などにあらかじめ電話回線と接続端子を整備しておき、災害が発生したときに電話機をつないで無料で開放する公衆電話である。
大規模災害では携帯電話が輻輳や基地局停電で使えなくなり、避難所に身を寄せた被災者が外部と連絡を取れなくなる——この通信の空白を埋めるために平時から仕込んでおくのが特設公衆電話である。市町村と通信事業者(NTT東日本・西日本)が事前に協定を結び、避難所・体育館などの公共施設に専用の回線と差込口を設置しておき、発災時に保管しておいた電話機を接続すれば、災害時優先電話として通話料・施設利用料とも無料で開放される。回線は一般の加入電話と別系統で混雑の影響を受けにくく、停電時も電話局からの給電で使えるため、安否確認や帰宅の連絡手段として機能する。設置場所のリストはNTTのウェブサイトで公開され、自治体は地域防災計画や避難所運営マニュアルに開設手順を盛り込んでおく必要がある。平時は使えず発災時のみ開放される建付けのため、訓練で電話機の保管場所と接続方法を確認しておかないと、いざというとき開設できないことが運用上の課題になる。
設置と開設の仕組み
特設公衆電話の回線は、市町村と通信事業者が締結する協定に基づき、避難所に指定された施設へ平時から敷設される。回線と電話機の差込口(モジュラージャック)だけを常設しておき、電話機本体は施設または事業者が保管し、発災時に職員が接続して開放する方式が一般的である。一般の加入電話とは別の専用回線で構成されるため、災害時に通話が集中しても輻輳の影響を受けにくく、災害時優先電話として扱われる。停電時も電話局側から電力が供給されるアナログ回線であれば通話でき、避難所の電力が落ちても安否確認の手段が残る。設置費用や基本料金は通信事業者が負担し、被災者の通話料は無料となる。
自治体の運用上の論点
特設公衆電話は平時に使えない設備のため、職員も住民もその存在や使い方を知らないまま発災を迎えやすい。電話機の保管場所、接続手順、開設の判断権限を避難所運営マニュアルに明記し、避難所開設訓練のなかで実際に接続まで確認しておくことが実効性の前提になる。設置箇所は災害用伝言ダイヤル・災害用伝言板といった声・文字の安否確認サービスと役割が異なり、特設公衆電話は被災者自身が直接相手と通話できる点に固有の価値がある。NTTは設置施設の一覧をウェブで公開しており、自治体は地域防災計画への位置づけと住民への周知をあわせて進める。
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