30by30(サーティバイサーティ)とは、2030年までに陸と海のそれぞれ30%以上を健全な生態系として保全することを目指す国際的な数値目標である。
ネイチャーポジティブや生物多様性地域戦略の現場では、保全の到達点を「面積でどこまで広げるか」という具体的な物差しで語る必要に迫られる。30by30は、2022年12月の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組の中核目標として掲げられ、2030年までに陸域・海域のそれぞれ30%以上を保全区域とすることを各国に求めた。日本では2023年3月に閣議決定された生物多様性国家戦略2023-2030がこの目標を国内目標として位置づけ、ネイチャーポジティブ実現の空間的な担保と整理した。国土の保全面積を30%へ引き上げるには、国立公園などの保護地域の拡張だけでは届かず、保護地域以外で生物多様性が守られている区域を自然共生サイト(OECM)として認定し算入する手法が併せて導入された。自治体にとっては、所管する都市公園・里山・社寺林や、区域内の企業緑地をこの認定へつなぐ橋渡し役が、目標達成への現実的な関与の入口となる。
保護地域とOECMの二本立てで30%へ
30by30が掲げる「陸海それぞれ30%」は、従来の国立公園・国定公園・自然環境保全地域などの保護地域だけでは到達できない。2021年時点の日本の保護地域は陸域約20.5%・海域約13.3%にとどまり、目標との差を埋める仕組みとして導入されたのがOECM(Other Effective area-based Conservation Measures=保護地域以外で生物多様性保全に効果のある地域)である。環境省は2023年度から、企業の社有林・ビオトープや自治体の里山保全地・都市公園などを自然共生サイトとして認定し、そのうち保護地域と重複しない部分をOECMとして国際データベースに登録する運用を始めた。30by30は保護地域の拡張と、この民間・地域の取組による区域の掘り起こしという二本立てで進む点に特徴がある。
自治体の関与と地域戦略への落とし込み
30by30は国際目標・国家目標であり、それ自体が自治体に直接の義務を課すわけではない。自治体が実務で関わるのは、生物多様性基本法に基づく生物多様性地域戦略への目標反映と、自然共生サイトの認定申請の支援という二つの経路である。自らが管理する都市公園・緑地・里山保全地を認定申請する立場と、区域内の企業・団体・社寺へ申請を働きかける立場の両面を持ち、認定後も継続的な保全活動と管理記録の整備が前提となる。地域戦略に30by30への貢献を数値として書き込み、認定区域の面積で進捗を測る器とすることで、国の数値目標を地域の保全施策に接続できる。緑の基本計画や都市計画における緑地の位置づけとも連動させ、既存の制度運用の中へ保全区域を組み込む動きが各地で広がっている。
つながりのある用語
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)