ジチテン

適正手続

読み:てきせいてつづき

別名:デュープロセス
意味

適正手続とは、行政が国民の権利・利益に影響を及ぼす処分などを行う際、その内容の妥当性だけでなく、決定に至る手続自体が公正・透明でなければならないとする行政法上の原則をいう。

不利益処分をする前に相手方の言い分を聴いたか、処分の理由をきちんと示したか——適正手続は、行政の判断が正しいかどうかとは別に、そこへ至る手続が公正だったかを問う考え方である。憲法第31条が刑事手続について定める法定手続の保障に淵源をもち、行政手続にも及ぶべき原理として発展してきた。行政が結論を出す過程で当事者に告知と聴聞の機会を与え、判断の理由を明らかにすることで、恣意的な行政運営を抑え、相手方の納得と行政の信頼を確保することがその趣旨である。日本では1994年施行行政手続法、続く自治体行政手続条例によって、申請に対する処分審査基準標準処理期間の設定、不利益処分の処分基準・聴聞・弁明の機会の付与理由の提示といった形で具体化された。担当課にとって適正手続は抽象的な理念ではなく、不利益処分をする前に聴聞や弁明の機会を設けたか、処分通知に理由を付したかという日々の実務そのものであり、これを欠いた処分は手続の瑕疵を理由に取り消されうる。適正手続を尽くすことは、後の行政争訟における取消しリスクを抑えるうえでも要点となる。

適正手続を構成する四つの要素

適正手続の中身は、一般に告知・聴聞・理由の提示・基準の設定といった要素で語られる。第一に、不利益を受ける者に対して、不利益処分の内容と根拠をあらかじめ知らせる告知。第二に、相手方が自らの言い分や証拠を述べる機会を保障する聴聞・弁明の機会。第三に、なぜその処分に至ったかを相手方に示す理由の提示。第四に、判断の予測可能性と公平性を確保するための審査基準・処分基準の設定と公表である。行政手続法は、申請に対する処分については審査基準と標準処理期間を、不利益処分については処分基準と聴聞・弁明の機会、理由の提示を、それぞれ条文で具体化している。これらは別個の規定でありながら、いずれも適正手続という共通の理念から導かれており、一体として行政判断の公正さを担保する。

手続の瑕疵と処分の効力

適正手続が実務上重い意味をもつのは、手続を欠いた処分が違法と評価され、取り消されうるからである。たとえば、聴聞や弁明の機会を与えずにした不利益処分、理由を示さずにした処分は、内容そのものが妥当であっても手続の瑕疵を理由に取消訴訟で取り消される可能性がある。最高裁も、理由提示の不備を理由に処分を取り消した事例を示しており、手続的な適正さが処分の効力を左右することを明らかにしている。したがって担当課は、処分の中身を固めることと並行して、聴聞・弁明の機会の付与や理由の提示といった手続を法令の定める順序・様式で履践し、その記録を残さねばならない。適正手続を尽くしておくことは、住民への説明責任を果たすと同時に、後の争訟で処分が取り消されるリスクを抑える実務上の備えとなる。

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