単独処理浄化槽(みなし浄化槽)とは、水洗トイレからのし尿のみを処理し、台所や風呂などの生活雑排水は処理せずに放流する個別設置型の処理施設である。
古い住宅の排水を調べると、トイレの汚水は処理されているのに生活雑排水がそのまま川へ流れている、という設備に行き当たることがある。これが単独処理浄化槽で、し尿だけを処理し、台所・風呂・洗濯から出る生活雑排水は未処理のまま放流する。汚れの大半は生活雑排水側にあるため、河川や水路の汚濁を招きやすく、生活排水対策の弱点とされてきた。
平成13年の浄化槽法改正により、新設は合併処理浄化槽に限られ、単独処理浄化槽の新たな設置は原則できなくなった。改正前から設置されていたものは「みなし浄化槽」と呼ばれ、既存設備として使用が認められているが、国も市町村も合併処理浄化槽への転換を補助制度で促している。市町村にとっては、下水道の整備区域外で水質を守るうえで、この古い単独処理浄化槽をいかに合併処理浄化槽へ切り替えてもらうかが、生活排水対策の実務課題となる。
新設禁止と既存設備の扱い
平成13年(2001年)施行の改正浄化槽法は、単独処理浄化槽の新設を原則として禁止し、新たに設置する浄化槽は生活雑排水もあわせて処理する合併処理浄化槽に限定した。改正前から設置されていた単独処理浄化槽は、法律上「みなし浄化槽」(浄化槽法附則第2条に基づく既存の単独処理浄化槽)として使用の継続が認められている。ただし所有者には、浄化槽法第10条の保守点検・清掃、第11条の定期検査(法定検査)の義務が合併処理浄化槽と同じく課される。市町村は、みなし浄化槽が放流する未処理の生活雑排水が水質汚濁の一因となるため、設置基数の把握と適正管理の指導を求められる。
合併処理浄化槽への転換促進
生活雑排水を処理しない単独処理浄化槽は、汚濁負荷の大きい生活雑排水をそのまま放流するため、合併処理浄化槽に比べて公共用水域への汚濁負荷が数倍に達するとされる。このため国は、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への切替えに対し、循環型社会形成推進交付金などで市町村の補助事業を支援している。市町村は、設置費の一部や撤去費・配管工事費を補助する制度を設け、下水道の整備区域外を中心に転換を促す。老朽化した単独処理浄化槽の破損・機能不全は、地下水や河川の汚染に直結するため、転換の促進は生活排水対策と水質保全の両面で市町村の重要施策に位置づけられる。
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